今回の台風13号では、西日本で大きな被害が出ましたが、
特に宮崎県延岡市では、9月17日14時頃に発生した竜巻によって、線状に建物の損壊があり、
さらには停車寸前の特急「にちりん9号」まで転覆させてしまいました。
重量のある電車を転覆させるほどの猛烈な風とは、一体どれくらいのものなのでしょうか。
簡単ではありますが、計算してみました。
(ここから数式が並びますので、苦手な方は結論まで…)
1.車両の緒元
形式:485系(先頭車:クハ481)
全長(L):21.0 メートル
車体幅(W):2.949 メートル
高さ(H):3.945 メートル
重心高(hg):1.300 メートル
自重(m):43.0 トン
線路幅(D):1.067 メートル
台車:空気バネ台車
2.気象データ(延岡市:17日14時)
気圧(P):994.1 hPa
気温(T):25.7 ℃
気体定数(R):287
よって、空気の密度(ρ)は次のように求められます。

3.転覆する条件
今回は、ほとんど停止状態であったとの証言により、進行方向の速度は0とします。
また、計算の簡略化のため、空気バネの作用は考慮しないものと仮定します。
そうしますと、車両にかかる力は、重力(Fy)と風の力(Fw)だけとなり、以下の図のようになります。

転覆するかどうかの限界は、車両の重力と横方向の風の力の合力の方向が、線路幅に収まるか
どうかによって決まります。
重力は一定ですので、風の力が強まって合力の方向が、外側の線路のさらに外を向くと転覆する
というわけです。つまり、合力が外側の線路上に達した風速が、限界の風速(u)となります。

よって、上の図の比率から限界風速は、

と求まります。
ただ、実際には空気バネのたわみの効果があり、みかけ上は重心の高さが高くなることから、
通常は、

と25%増しにします。
以上より、車両のデータと気象データを代入する事により、
限界風速は

となります。
宮崎地方気象台の発表でも、今回の竜巻のランクは「F2」とされ、風速50-69メートルと推測されて
います。
竜巻は、時間が短く規模も小さいため、現在の観測網では捉えにくく、そのため予測は難しい現象です。
ただ、気象庁は、数年以内には観測網の充実を図るとの事ですので、竜巻などによる突風予測の可能性に期待したいものです。
投稿者 藤富郷