きのう25日は「中秋の名月」でした。木原さんのお天気コーナーで、どんな様子か生の映像を放送したのですが。これがそのときの名月。スタジオの中で、モニターを通じてまんまるの月が目に入ったとき、ひとつの歌が浮かびました。「秋風に たなびく雲の絶え間より もれいずる月の かげのさやけさ」…どうでしょう。まさにそのまま、ではないでしょうか。画面の左から右に向けて、もやっとした雲の影が流れていきます。すると、いにしえの人々が「餅をつく兎」と見立てた月面の文様がくっきりと、冴え冴えと画面に拡がりました。
月の時期というと、昨今は「ハンバーガー」のCMで「そうそう、そういう時期だ」と思い出したりする私。自然の風情や情緒とは程遠い想起のしかたとしか言いようがありません。当然、自宅でも「月見団子」や「すすき」などは用意しておりません。皆さまのお宅ではいかがでしょうか。
昨晩は、仕事のあと会合に向かう際にタクシーに乗ったのですが、その運転手さんが「庭月野(にわつきの)」さん。まさに中秋の名月にふさわしい苗字です。鹿児島に同じ名の集落があるそうで、そこは全世帯が「庭月野」姓とのこと。風雅な響きと字面ですが、平家の落人がその祖と聞くと何か重い物語もあるのかなと思います。
この時期はまだ夏の名残も残っていて、月を見るという行為にそれほどの寂寥は感じないのですが、これからは秋の寂しさが増してきます。「月見れば 千々にものこそ悲しけれ 我が身ひとつの秋にはあらねど」という歌など、その境地がストレートに表現されていますからね。いずれにせよ、心を鎮めて眺める月の時季。皆さまその影になにを想いますか。
投稿者 近野宏明