南風原陸軍病院はおよそ30の横穴からなります。そのうちの1本、20号壕は入り口付近が落盤していたものの、内部はほぼ原状を保っていました。そこで、決して潤沢とは言えない予算をやりくりして、長さ70mの20号壕を最初に整備し、今回の一般公開にこぎつけました。それに先だっては、考古学的手法にもとづく調査も行い、出土物などの分析も行っています。
火炎放射と火災による炭化のあと、ツルハシやクワで壁を刻んだあと、天井に残された「姜」の文字…。中継ではそれらを網羅して紹介したのですが、少々急ぎ足になってしまったのが、物足りなさを覚えられた方もいたかもしれません。
入社・報道局配属以来、ずっと沖縄の基地問題・戦争の問題を取材してきた私。手つかずだった戦争のあとが、最小限の整備で公開に至ったことの意義深さに思いをいたさずにはいられません。
沖縄といえば、青い海・白い砂浜が思い浮かぶ方が多いでしょう。しかしそれだけではありません。美しい島の風景、あたたかい人のこころのもとには、筆舌に尽くしがたい歴史が抱えられているのです。夏休みはもうすぐ。今年も多くの観光客が訪れると思います。気持ちよく遊んで、美味しいものに舌鼓をうって、沖縄の愉しさを満喫していただきたい。でも、少しの時間でかまいません。沖縄で何が起きていたのかも、知ってほしいと思います。沖縄に10年以上関わってきた私や、Yカメラマンの願いです。
投稿者 近野宏明