#160  長崎で

(2007/04/18)


 

火曜日の夜、放送と反省会を終えた所で一報が入りました。「長崎市の伊藤市長が銃撃された」という内容。即座に「またか!」という思いがよぎりました。昭和の終わりから平成の始めにかけてのこと。本島等・元市長の発言、そして銃撃事件の記憶です。私はまだ高校生でしたが、卑劣な事件、民主主義への挑戦、という思いは自分なりに感じました。その銃撃事件から17年。21世紀になってなお、公職にある者が凶弾に倒れてしまった現実に、何とも言えない薄ら寒さを感じています。

長崎へは田宮榮一さんと入り、現場周辺や、容疑者の事務所周辺などを回りました。現場は長崎駅の目の前。ひっきりなしに路線バスや路面電車が行き交う大通りに面しています。「こんなところで」というしかありません。現に、2発目の発砲を目撃した人に話を聞くと、発砲の瞬間も、現場の前には路線バスが停車していたそうです。車内の乗客はみな、進行方向左側の現場の方を向いて、事態の推移を目の当たりにしていたといいます。犯行の時間帯からしても、市長の事務所関係者、選挙スタッフはもちろん、まったくの通りがかりの市民に危害が及ぶ恐れがあったわけです。身勝手極まりない動機、分別のない手荒な犯行。言葉もありません。

取材をしていると、市民の方から「いつも番組を見ていますよ」と声をかけられました。「長崎に来るのは初めてなんです」と正直に申し上げると、「こんなひどい事件で長崎を訪ねるなんて…」と返されました。進取と平和を尊ぶ気持ちがひときわ強い長崎市民の誇りを踏みにじる犯行。民主主義の実践の場である選挙期間中ということもあわせて考えると、被害者は市長だけとは言い切れません。長崎市民も、そして日本中の市民にも、同じように銃が向けられたのだと考えざるを得ません。そう思うにつけ、怒りがこみ上げてきます。

投稿者 近野宏明