#140  ラジオ ①

(2007/03/05)


 

テレビ局に勤務する私ですが、ラジオも大好きです。どんなとき聞くかと言えば…長距離列車に乗っているとき、車の中、寝るとき。私とラジオの「蜜月タイム」と言えましょう。
 
070305_エアモニ.jpg記者の仕事に就いて、「七つ道具」のひとつとして最初に購入を命じられたのは写真の携帯ラジオ。通称は「エアモニ」。「オンエアモニター」の略と思われます。テレビ・AM・FMの3バンドがすべて聴けるすぐれものです。取材現場にいても各局のニュースが確認できるので、必携です。どこに行くにも私はいつも持参します。最近は「ワンセグ」という「テレビそのもの」を視聴できる最終兵器が登場しました。しかし長年「取材現場用携帯メディア」の王座に君臨してきたことに疑いはありません。

 このエアモニ、実際に携帯すると、上記の本来的使用方法のほかにもすぐ役立ちました。とくに「張り込みの友」として。例えばオウム事件が世のニュースを席巻していたころ。私たち駆け出し記者は、上九一色村の第6サティアン前の夜間張り込みをしていました。日中は先輩記者とカメラクルーが3人で、ばっちり目を光らせています。その後。動きの少ない夜から朝にかけて、我々が小さいビデオカメラを持ってサティアンの動きをマークするのです。

 周囲には自社の仲間はいません。携帯電話も圏外。サティアンから漏れる灯りの他は真っ暗です。おまけに標高がある山間地ゆえ寒く、毎晩のように深い霧や靄に包まれる…。実に心細いシチュエーションなのでした。そして、駆け出し記者ひとりに任せられるほど、現場では大きな動きは滅多にありません。でももちろん居眠りするわけにもいきません。そんなとき、大袈裟に言えば「心の支え」ともなったのがラジオでした。深夜はいくらかAMラジオの受信条件が改善するので、まずます聞こえるチャンネルを探し当てて耳をすませます。そこには「日常」の番組が。肩の凝らないおしゃべり、懐かしい音楽。ふだんの世界と自分を結ぶわずかな紐帯という感覚を、しみじみ覚えたものでした。

 ラジオはとてもパーソナルな感じがするメディア。1対多数、ではなく1対1=直接自分に訴えかけているような錯覚をおぼえやすいメディアとよくいわれます。実際そう感じられたのが、あの特殊なシチュエーションでした。…と、思い出すとラジオを巡る記憶が次々とよみがえってきたので、この話はまたの回にも。

投稿者 近野宏明