#136  長幼の序

(2007/02/23)


 

070223_小西プレゼン2.jpg今週前半は、自民党の中川幹事長の発言がニュースとなりました。改めて紹介しますと、発言は宮城での講演の中でのこと。「内閣総理大臣が入室した時に起立できない政治家、私語を慎めない政治家、それは美しい国つくり内閣にふさわしくないと思います。自分が目立つことを最優先に考えるそんな政治家は内閣、官邸から去らなければならない」。…与党幹部による異例の苦言ですが、こうして字面そのものを見ると、至極もっともという感もあります。この発言、夏の参院選への危機感にもとづく「ゲキ」という見方があります。いっぽう安倍総理の求心力低下の現れとも。

 この種の「ゆるみ」は、そもそもリーダー自身にじゅうぶんな風格が備わっていれば起きないはず。万一起きたときには、リーダーの周辺がそれとなくしめる、おさめるのが通例でしょう。今回はそのいずれもみられないと言うことで、止むに止まれず外部から苦言を呈したというのが、政治通の見方です。

070223_小西プレゼン1.jpg『リアルタイム』では小西キャスターのコーナーでも取り上げ、小泉内閣当時との映像比較も行いました。確かにそこには歴然たる差が。一人一人の私語や立ち居の乱れは小さいかもしれませんが、それが多くの閣僚にみられると、「区切り」とか「けじめ」がつかないものだなあと思います。自分の周囲で考えてみましょう。本当に風格や威厳を伴う人物、一目置いて敬意を払うべき人物が現れたら、やっぱり自ずと心身が引き締まるものです。

 中川幹事長の発言は、若い安倍総理を支えるべきベテランに向けられた声という指摘もあります。安倍総理は現在52歳。年齢の近い例としては田中角栄です。彼が総理になったのは54歳のとき。でも当時、その年齢を理由に軽んじた人がいたのか?恐らくいなかったはず。正真正銘の実力に裏打ちされた、目に見えない強い「圧」みたいなものが、彼の身体全体からみなぎっていたんでしょう。

のちの事件など最終的な功罪は別として、総理就任当時の田中角栄は日本の政治史でも例外的なバイタリティと権勢を手中にしていたので、比較の対象として適切かは分かりません。しかし、たとえ往時の田中角栄に比肩するまでの「圧」を備えていないとしても、閣僚にとって総理とは年齢や当選回数の多寡といった「長幼の序」を超越して敬意を払うべき対象のはず。なんといっても閣僚は、有権者の代表たる国会議員によって選ばれた総理によって、任命された職なのですから。20日の閣議では閣僚の「お行儀」は改まったようですが、今後もその緊張感が続くのか。注視していきましょう。

投稿者 近野宏明