#110  顔見世興行

(2006/12/20)


 

 古都の師走の風物詩「顔見世興行」を見てきました。京都・南座での中村勘三郎襲名披露公演です。関西の方はよくご存知の通り、暮れが近づくと出演する役者の名を記した「まねき」と呼ばれる長い板が、南座の正面にずらりと並びます。今回は、そのど真ん中に鎮座するのはもちろん「中村勘三郎」。

 歌舞伎を見るようになったきっかけは人に薦められてですが、今ではすっかりハマっています。中でも勘三郎さんの公演は殆ど見ているのです。去年始まった「勘三郎襲名披露公演」、銀座の歌舞伎座でそのスタートを見た以上、一連の襲名披露公演を締めくくる南座を見たいとずっと思っておりました。思いがけずそのチケットが取れて、勇躍京都へ出かけた次第です。

 南座は以前、中村福助さんの密着取材で入った経験があります。しかし実際の公演を見るのは初めて。歌舞伎座に比べて小さなサイズゆえ、役者との距離が近く、声もよく聞こえます。そして何より、すぐ目の前は四条の河原。歌舞伎発祥の地であります。年の瀬の雰囲気に包まれた由緒ある劇場で、十八代目の勘三郎を堪能するという幸甚!当日は不必要に早起きしてしまいました。

 ご興味の無い方も多いと思うので、当日の演目や内容は割愛するとして。千両役者ぶりについてもご想像の通りです。改めて言うのは一つだけ。その体力です。今回の演目のひとつ『川連法眼館』では、武士から狐への早変わりがあります。で、舞台上の建物の破風あたり(鴨居よりも更に高いところ)にある隠し扉から鉄棒を握ってぐるんと飛び出し、着地する場面があるのです。2m以上の高さでしょうか。勘三郎丈はいま51歳!これを毎日。生で演じているのですよ。まあ他の演目でも、重い衣装を着て舞台狭しと駆け回り、花道に消えたと思うと着替えて袖から出てくるなんてぇのはザラですからね。そんなライブが1か月毎日続く。歌舞伎役者の条件の一つは「旺盛な体力」と言って差し支えないでしょう。

 京都・南座は見るからに高級な和服をお召しの女性も多く、舞台の上だけでなく客席も艶やか。そちらも眼福であります。さらには幕間に美味しい押し寿司を賞味。師走の慌ただしさを忘れるひとときでありました。

投稿者 近野宏明