師走もあすで早や1週間。あたたかい秋だったせいか、紅葉はすっかり遅れました。掲載した写真はけさのイチョウ並木。言わずと知れた、神宮外苑の象徴です。青山通りから真っ直ぐに絵画館目指して伸びるアプローチ。その左右に整然と並ぶイチョウは、146本あるそうです。東京屈指の黄葉の名所ですね。
けさも並木の周辺には、カメラを構えた人がたくさん。最近は携帯電話のカメラという手段がありますから、たまたま通りがかった人も手軽に記録しています。
イチョウの色づき方、よく見ると心なしか緑が残っています。例年のような完全な黄葉とはまだなっていません。この場所だけでなく、都心は国会周辺も、広尾あたりの並木も、どうもスッキリした黄色には染まっていません。それでも、外苑では路上に落ちた葉はいい塩梅に色づいていますから、私が撮影しても、それなりに見える写真が撮れてしまいます。けばけばしい色彩の商用車を巧くフレームから外せば、ちょっとヨーロッパの街並みに見紛う雰囲気。自然の美は七難を隠す、わけですね。
晩秋、この時期はこの上なくロマンティック。そんな並木での胸を焦がすような思い出といえば…、特にありません。無念です…。突き当たりに見える絵画館前で見た花火、…これは盛夏の記憶ですね。岡山産の花崗岩が貼り付けられた絵画館外壁の前に陣取って、地べたに横になって花火を見たのはもう12年前です。就職も決まって、卒論の準備をしていた時期でした。当然、イチョウは濃緑。闇に瞬く花火の眩しさが葉に反射して白く見えました。海のほうから吹いてくるぬるい風で、葉っぱは静かにざわめいて。
そんなことを思い出しながら観察していると、会社に向かって歩く人が結構います。毎日この並木のトンネルをくぐって出勤するというのは、かなり幸せではないでしょうか。無機質な地下通路をぐるぐる回ってビルに入るのに比べたら、気分はまるで違うはず。コンクリート色の通勤とは対極の、黄葉に染められた通勤。じつに羨ましい。
投稿者 近野宏明