冬の東京を実感する空模様に「カラッとした晴天」というのがあります。そのぶん朝はキィンと寒いのですが。きょうはまさにその天気。日本テレビの高層階に上がってみると、にょきにょきと伸びた高層ビルに手が届くような気がします。
しかし本当は、午前中ももっと早いうちに見るべきなんですよね。この写真では見えませんが、左端に見える東京タワーと似たような方角に、じつは富士山があります。朝、まだ靄(もや)がかからないうちですと、冬はくっきりと富士山が見えます。ひとはなぜ、富士の峰を目にするとトクをした気分になるのでしょうか。新幹線に乗っていても、飛行機の窓をぼんやり見ていても、御殿場のあたりで買い物をしていても。
いっぽう写真の反対側、海側はというと、夜明けの空の美しさが圧巻です。天頂から水平線のほうに支線を下ろしていくとそのグラデーションに目を奪われます。ピアノのボディのような黒、いわゆるミッドナイトブルー、コンサートホールのカーペットのような(ってどんな?)紫色、そこからさらに微妙に赤に転じると。これは夜明けの一瞬しかないので、早起きしたり、夜通し仕事をしたときのご褒美と言えましょう。
しかし東京がこういう好天のときは、いわゆる「冬型の気圧配置」であることが多く、それは取りも直さず、日本海側では曇天で雪も降る…ということなのです。川端康成『雪国』の世界です。私も冬場に帰省するたび川端康成の気分になり、東京に戻るためにトンネルを抜けると、その明るさと眩しさに太陽の有り難みを実感しました。そして、上越新幹線から思いがけず見える富士山は、実家の家族にも見せたいなあと思ったものです。
先日、番組前に新潟出身のデスクと「どこまで富士山は見えるのか」という話をしました。彼は『ズームイン!SUPER』のディレクターを長くやっていて、その頃、そのものずばり「富士山はどこまで見えるのか」という企画も取材したそうです。この道は実に奥が深いそうで。皆さんもネットで調べるとすぐ分かりますが、実に様々なサイトが在り、証拠写真も掲載されています。条件が揃えば、北は山形県、南は和歌山県からも見えるようです。汐留の眺望は、まだまだ甘いということですね。
投稿者 近野宏明