5秒前!!
4、3、2、1・・・
それはお茶の間でテレビをただ見ていた学生時代には想像もつかなかった、1秒と言う時間への強い意識。
25秒なら、25秒で原稿を読みきる・・・
早過ぎてもダメ、ましてやタイムオーバーなどは絶対に許されない、生放送本番はいつも1秒を意識しながらアナウンサーはニュース原稿を読み進めていきます。
1ヶ月前の8月25日、僕はこの時間管理の洗礼を、日本テレビ系列の全国生放送である「ニュースD」
の代打で受けました。
ニュースDは、平日の11時30分から汐留・日本テレビのスタジオから放送されている昼の看板ニュース番組。普段は金子キャスターと舟橋キャスターですが、金子キャスターが夏休みのためピンチヒッターとして1週間のうち1日だけ僕が登板する事になりました。
決められた秒数内で1秒も狂うことなく読み進めていかなければならず、さらに全国放送。
絶対に“かむ事”は許されないし、正確な発音発声でないと聞いているカメラのむこうの視聴者にニュース以外に気をとらせてしまうことになる。
「さぁ~~、これは大変だ!!」
「入社2年目、それも地上波経験のきわめて少ない僕によくアナウンス部が許可を出したな」
初舞台への不安と緊張が一気に襲い掛かる。
アナウンス部先輩から、そして日テレNEWS24のキャスターの皆さんからも激励の言葉を数多く投げかけてもらいました。
「大きな声出せば大丈夫だよ」
「本番に入っちゃえばあっという間だよ」
「タイムオーバーだけはするなよ☆」
「いい経験出来てうらやましいぞ!!」
よくテレビカメラの前に初めて立つ新人アナウンサーには、
「無機質なカメラを見るのではなく、その向こうに家族や友達がいると思って語りかけなさい」
と指導されますが、僕には声をかけてくれた先輩方がいるアナウンス部の光景が目の前に広がっていました。きっと全員が仕事の手を休めて、テレビから流れてくる僕の一言一句に耳を傾けているのだろうな・・・と、そう考えながら読んでいました。
発音、発声、姿勢、目線、表情・・・
あらゆる日本テレビ伝統のテクニックを研修で教えてくださった先輩方、僕は先輩方の熱意ある教えに
少しでも答えることが出来ているでしょうか・・・?
「CMまで15秒前!」
原稿を読み進める僕にタイムキーパーさんから声が飛ぶ。
原稿の下読みの時に原稿の上にふった途中経過タイムにチラッと目をやる。
そこには16の文字。
<ここから最後まで、普通の速さで16秒で読めていた>
<大丈夫!>
「CMまで10秒前!8,7・・・」
僕の目の前で、スタッフが指をおり始めた。
<いいぞ、最後でかまないように気をつけよう>
「6,5・・・」
緊張感が最高潮、チラッと残りタイムを見る。
”ここから(ラストまで) 5秒”という文字・・・
<よし、大丈夫だ!>
100m徒競争でゴール手前15mでかろうじてトップにたって走っているようかのような心境。
「3,2,1!」
『~~でした』
カチッ!、パ~ン! CM!
CM手前0.5秒ほどで読み終えることができました。
「おつかれさ~~ん!」
隣にいたディレクターがぽんぽんと肩をたたいてくださった。
時間を出し続けてくださったスタッフも素敵な笑顔を投げかけてくださいました。
先輩の言うとおり、終わって見ればあっという間のデビュー戦。
けれど自分の初舞台ではこれだけ多くの方の笑顔に支えて
もらっていたんだなと、改めて皆さんに感謝した8月25日の
昼ニュースデビューでした。
投稿者 藤田大介