海峡を越え

(2008/02/10)


 

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このたび海峡を渡り、ロンドン支局からパリ支局に異動しました。
あまりロンドンに留まることがなかったものの、あらゆる場面でイギリスの底力を実感しました。官民問わない実行力、情報力、外報力、政策力、人の歴史、そしてそこから・・・第3の選択にみえて、自己利益のためにベストな選択をできてしまう強かさがありました。

ところで。

イギリスといえば欠かせない話題である英王室の空気、にも触れてみたいとおもいます。

写真は、去年5月に出席させてもらった女王主催のお茶会(QUEEN’S GARDEN PARTY)です。皆、帽子を被る正装で現われるのですが、私は日本から持ってきた母の着物を着て、出かけました。

場所は、バッキンガム宮殿。宮殿の中を通り、裏庭にでると、そこには湖や森が広がります。
そこで行われるお茶会。出席するのは主に英チャリティー関係者や医療関係者、法律関係者、などです。

紅茶を手に会話に花を咲かせる・・・・・まさにアフタヌーンティー、人脈作りの場です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして大勢の人をひきつける・・・英王室の「力」について書いてみます;

その人気は・・・・イギリス人が飽きたといいつつも、タブロイド紙に載れば皆が釘付けになるように・・・顕在です。日本ではダイアナ元皇太子妃のことが最もよく知られていますが、彼女の没後10年にあたり、取材した際にも「人間らしさ」を感じることができました。

例えば、チャールズ皇太子は「田園好き」、ダイアナさんは「都会好き」という方向性の違い。2人があまりに違った事柄のひとつ、とされます。美味しいビスケットで知られる皇太子のブランドがありますが、その牧場を訪れた際、貴重な豚の繁殖現場を見せてもらいました。その丁寧な姿勢に農業への特別な思い入れを感じました。同時に、ダイアナさんが愛した服、遊びも見ることがありました。そこからさらに積極的に人々と同じ目線になって、自分の役割を果たそうと動いた、その熱意も彼女が手がけた事業を通じて感じました。別れていった2人ですが、孤独な部分もあったとされる彼女が、人のためにと動いていった背景・・・・それは突き詰めれば愛情に飢えていたのではないか、と言われるゆえんも、感じました。裁判などで実に様々な情報が今も出続けていますが、その人間らしい姿こそが、どこかイギリスの人にとっての王室との距離感なのだと思いました。

ウィリアム王子そして恋人ケートさん、あるいはヘンリー王子やチェルシーさん、彼らも皆、気さくでそして自然体です。ケートさんについてはパパラッチ報道の前から取材をしていて、異常なマスコミの熱気を感じました。ケートさんやヘンリー王子については、「おしゃれになった」、「こんな風にマスコミを撃退した」などで騒がれますが、2人とも、その「人間臭さ」がイギリス人に愛される所以だと感じます。

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さて。


お茶会で、途中から登場したのは、エリザベス女王。
一斉に皆が道を開けます。
毎度ながら、ニコリともせず、毅然としながらも必ずバックを手に持って歩く 姿には、品格と同時に可愛らしさを感じさせます。

そして、このとき私が感動したのは、またその人間らしい振る舞いでした。

お茶会では、お付きの人が適当に選んだ人たちが、女王と話す機会を与えられます。
たまたま目についた人と言いながらも、ボーイスカウト、インド系の官僚など人選は全体のバランスを考えて選ばれています。

女王は会う時まで、全く話す相手の素性を知りません。
お付きの人は2分前に本人から聞いた名前と職業だけを、簡単に女王に紹介した後は、会話に全く感知しません。つまり「放任状態!」なわけです。

が、女王は、あらゆる会話で対応していきます。その会話の引き出しの多さには、ため息が出ました。
しかしふと近くに居て、気がついたことがあります。

相手によってわかりやすいほど、話す時間がバラバラ、そして表情が違うのです。
例えば同年代の女性と話すときは長く、そして柔らかい表情、でも気の合わない相手には、すぐにカバンを持ち換えるなどして、さっと立ち去る・・・あっさりと会話を終えているのでした・・。

失礼ながら、「ああ、人間臭いな」と大いに感じました。

会話をした人たちからは
「こちらの仕事をよく把握していました」
「気さくに自分の体験談を話してくれ、びっくりしました」
「恐くなかったよ、自分の祖母みたいな接し方をしてくれた」
「肌が美しくてびっくりしたわ!」などの反応が。

自然な立ち振る舞いが、多くの人を魅了しているのでした。

という、優雅な時間・・・も稀にあったロンドン時代ですが、それだけでは物足りないものです。


下の写真で質問です。

Qこれはいったい???

答えはまた今度。


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海峡、国境を越えればまた違う世界があります。

人の苦しみ、喜び、目の前の現実・・・・・・それを、ぐっと味わいながら日本に届けられれば。そして願わくば、見た人の選択肢を広げられるような手法で、・・・伝えていければと思います。


ブット元首相、イギリスでの評判

(2007/12/27)


 

先ごろ、ロンドンで開かれたある会合。
英国駐在の外交官同士が、
こんなひそひそ話をしていたそうだ。

「ブットが帰国して大騒ぎだね」
「彼女か?あんなコラプト(腐敗)なのはいないぞ」

イギリスで話題のベナジル・ブット氏(54)。
パキスタン初の女性首相で、ことし、8年ぶりの帰国を果たした。

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「BB(ビービ)」の愛称もある華やかなキャラ。
亡命生活中も、ロンドンを拠点に幅広い交流があったが、
良くない評判も聞く。
もともと汚職を問われて祖国を去り、
スイスではマネー・ロンダリング罪に問われる身。
金銭スキャンダルの臭いが消えないのだ。

帰国のその晩に起きた自爆テロでは
140人の尊い命が失われた。
パキスタン政府は、暗殺の危険を再三警告し、
ヘリコプターをすすめていたが、
ブット氏は聞き入れず、地上の練り歩きを強行、
最悪の結果を誘発した。

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批判を受けたブット氏は
「待っていてくれた国民の前に
姿を見せない訳にはいかなった」と弁明。
現場で取材した私も、
もしブット氏が姿を見せなかったら
群衆の不満が治安部隊との衝突に
発展した可能性はあったと思う。

でもブット氏が、
市民をテロに巻き込む危険を承知で、
「凱旋帰国の演出」を優先したとも見える。
病院に犠牲者を訪ねたのも、どこか白々しい。

政治家は往々にして、表向きと実像が食い違う。
ブット氏のように派手で
大衆に人気があるタイプほど、
人物面の評価が低い例は多い。

しかし実像がどうあれ、
メディアを通じて大衆に訴える力は、
民主化闘争を仕掛けるのに何よりの素質だ。
ブット氏の場合はさらに、
海外の目を引き付けて民主化を後押しさせる
「広告塔」の役割も自認しているかに見える。

帰国の背景にはそもそも
ポピュラーなブット氏を利用して
不人気のムシャラフ政権にテコ入れしたい
アメリカ・イギリスの思惑がある。
欧米PR会社も一枚噛んだ巧みな広報戦略。
実際、英国スカイニュースは、
外報部長以下特別班で臨む異例の扱いだった。
「なぜ、今ブットなのか?」
の疑問への答えも見えてくる。

日本の政治を取材していた私には、
小泉元総理が田中真紀子氏を味方につけて
自民党を崖っぷちから救った構図とも
重なって見える。

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核兵器とテロリストを同時に抱えた
パキスタンの政局は、アメリカと、
サウジなど周辺諸国の思惑もぶつかり、複雑だ。
ブット氏を評価するにも
ひとつの物差しでは計れない
苦々しいリアリズムに満ちている。


スペインの風

(2007/10/31)


 

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振り返れば6月のドイツのサミットの話です。環境問題も主なテーマであったものの、実際の作業は各国の利益や方法をめぐり難航を極めたようです。欧州にいる身としてはナゼ欧州では環境への意識がここまで進んでいるのかに興味を持ちました。そして環境対策とは何なのか、どうしたらいいのか目に見える形で何かできないかを考えました。そこで出かけたのが、4月、スペインです。
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「ドンキホーテのふるさと」スペイン。昔から風力を利用していた国です。

そこの「EUモデル地区」ナバラを目指しました。

ここは自治政府があることもあり、独立した動きを見せています。
街の中にはバイオエネルギーを利用したバスが全体の4割。
研究所も充実していました。
地熱、太陽熱、ゴミ利用熱、風力、バイオエネルギーを研究し利用する様子を取材しました。
(数回に分けて放送しました)

「環境に優しいエネルギー」を利用するためには、その地域の特性を把握することがまず一番です。
スペインらしくオレンジなども利用すべく研究がすすんでいました。
また太陽、そして風もあります。

ですが「さすがだ」とおもったのは、風力発電機の下で穀物が育てられていた点です。
ほか、そこで自然に生えた植物の中にも、香辛料を発見。
スペインの風は、いい香りがしました。
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「共存」のためには地元の理解が必須ですが、それは政府の柔軟な方針があって実現するものだと思いました。・・・・将来、ほとんどの電力を再生可能な自然エネルギーでまかなえる、というこの地域。
話を聞いていて、「住民と企業を一緒に巻き込んだ積極的な政策」が原点だとも感じました。。
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さて。

取材の裏側を書いてみます。

各国によって取材の仕方は異なり、毎回驚きます。
スペインでは現地の人たちの陽気で熱心な姿に、文化を感じました。

撮影はハードで
夜まで取材したあと、次の取材場所への移動は車で7時間ありました。
着くのはだいたい朝です。

その間、気づいたこと:
①どんなに遅くなっても決して夕飯は抜かない。~深夜1時から高速でのレストランで食事をしました。
②とにかく陽気。~いつも楽しんでくれます。

そしてフラメンコの話になると止まりません。

深夜2時、移動中の車内の質問。
「フラメンコ歌手トマトの子供達のグループ名をあててみて」と聞かれました。
何だと思いますか?

答えは・・「ケチャップ」。

ずっと裏話で盛り上がっていました。
こんなお茶目なスタッフに、撮影中また機転を見せられました。

それは「ドライブショット」と呼ばれる「移動映像」を撮っていたときのことです。

カメラマン兼ドライバーという1人2役を大体、お願いしているので、
撮影中は私が運転をしようと思ったら・・・・車はマニュアルの車。
オートマ限定という私にとっては厳しい・・ことに。
そして助手のスペイン人の男子学生は免許がないと言い・・。

どうしようかとカメラを構える準備をしていたら、なんと!カメラマンが警察に電話をし出しました。

警察官らは、ミニパトカーで到着。
なんでも、「この人達に運転してもらうのさ!」とのこと。

そこに、このデコボコなコンビが乗り込み、警察の運転する車で撮影をしてきてくれました。
思い切り笑って到着。
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撮影はハードでも、楽しく進みました。
スペインを知ってもらうためには苦労をいとわない。
取材対象者はもちろん、カメラマンらを通しても、その姿勢に欧州で吹く「スペインの風」を感じました。

最後に。
途中、こんなものも発見しました!
スペインから、来年のサミット開催国でもある日本へ、風が何か吹くことになればと願っています。
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決戦持ち越し!ブラウンVSキャメロン

(2007/10/08)


 

「おや、今年はちょっと違うな」

9月末、港町ボーンマスで開かれた
年に一度のイギリス労働党大会。
ブラウン政権になって「何か」が変わっている。
だがその正体はすぐにはつかめない。

前のブレア政権下では、去年も一昨年も、
会場に到着すると決まって何かこう、
「すさんだような」空気を感じた。
警備は異常なまでに厳重。
スタッフもピリピリしていて取材対応もすこぶる悪かった。
首相のスピーチを
会場の外のモニターで聴かされた事さえあった。

だが、今年はスタッフも少し柔軟だ。
外国メディアの場内取材チケットは限られていて、
日本の分は自動的にNHKに回っていたのだが、
担当者に懇願するとNNNも直前に入場を許された。

ブラウン首相が登場すると場内は総立ちで拍手。
生真面目路線が功を奏し
労働党の支持率を劇的回復に導いて今や救世主扱い、
解散総選挙前倒しの観測さえ出て
求心力が猛烈に高まっていた。

さてその演説は予想通り、
ジョークの一つもない堅物路線に終始。
内容は教育、医療、犯罪対策といった国内問題ばかりで
前任者のように華々しく外交を語ることもなく、
世界をリードする野心はうかがえない。

スピン=情報操作がお得意と批判されたブレア時代との決別。
それこそ、イラク戦争で失った大衆の信頼を
とり戻すテコとなっているのだ。

「いやいや本当はブラウンこそスピンの天才だ―」

保守党影の文化相、ジェレミー・ハントが
うんざりしたように批判していたのを思い出す。
「ブレアは見るからにパフォーマンス好きだが、
ブラウンは演技を演技と悟らせないで真面目に見せてるのがすごい」

タイムズ紙の政治部長も
「ブラウンはプライベートでは短気で近寄りがたいが、
テレビでは違うイメージを作ってる」と語っていた。

事実ならウワサどおりの相当な戦略家である。
党大会の空気が違って感じたのは、マスコミも含めて
彼のイメージ戦略の魔法にかけられていただけなのかも知れない。

その日は奇しくも日本の福田新政権の発足前夜。
「カリスマ性はないが政策通」「身内に厳しく秘密主義」
とのブラウン首相の評判は、
福田首相とも微妙にダブるのは興味深いが・・。

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そして、翌週の今月3日。
ブラウン効果に打つ手がなく、
もはやこれまでとも言われていた
野党保守党の若手党首、デビッド・キャメロンが
逆転のカウンターパンチを放った。

政治生命さえかかった党大会のスピーチを、
原稿なしで熱弁すること1時間。
衰えぬ政権担当意欲が大衆の心を動かしたか
ガーディアン紙の世論調査で保守党の支持率は
労働党と同率の38パーセントまで回復。
劇的ともいえる復活だった。

マスコミがブラウン一色だった時、
ロンドン経済大の専門家が言っていた。
「キャメロンが今あえて黙っているのは、
スピーチのインパクトを押し上げる作戦だ」
その通りになった。

結局、6日、
ブラウン首相は早期の解散総選挙を否定。
支持率の拮抗を受け、ギャンブルは避けた格好だ。

狡知の限りを尽くした二大政党の対決は、
来年以降に持ち越された。
キャメロン演説に先立って
保守党が打ち出した相続税減税政策が、
ブラウンのイラク段階的撤退本格化等のアナウンス効果を
上回ったとも指摘される。

前政権時代の悪名高き「スピン」は
敬遠されるかにも見えた英国政界。
だが、見えざる精緻なメディア戦略が
幾重にも張り巡らされ、
なおマスコミを翻弄しているように見える。


変化のしるし(法廷のカツラ)

(2007/07/25)


 

田舎町に物々しい警備がありました。そこはイギリス・ブレア首相(当時)の地元セッジフィールドのトリムドン村。
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ロンドンから4時間強。
まっすぐの道をひたすら走った先にある集会所前には英メディアが数社、中継車を構えています。
支持者に話を聞きながら、私も待ちました。観衆が声をあげる中、ブレア氏が到着。
・・・・正直、そこまでは、イギリス人に囲まれているのに「**県」にいるのでは?との錯覚を持つような、日本の政治の風景と変わらないものを感じていました。

しかし。

ブレア氏は演説を終えると観衆にしっかりとアピール、そして投げキスをして会場を去りました。
うう~む。
反発もある中での退任にもかかわらず、「最後の去り方」、その演出の「力」を肌で感じる場面でした。

さて。

6月27日、イギリスで10年ぶりに首相が変わりブラウン政権が誕生しました。

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ブラウン首相は、フラッシュの中、緊張した面もちで首相官邸ダウニング街10番の邸宅に入りました。


じわじわと変化が起きています。


ひとつは司法制度

そんな中、BARRISTER(法廷弁護士)協会の会長が、弁護士らが集う伝統あるパブで語ってくれました。

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「ブレア政権では後半、現場との相談が欠けた感じがする」と。

→例えば;MINISTRY OF JUSTICE という全く新しい省庁が今年5月に誕生しています。
 HOME OFFICE(内務省)から独立したものですが、「時期」について反対意見がありました。
 政権移行前という中途半端な時期ゆえに業務が中途半端になったとの批判もあります。

だからこそ・・・・・「ブラウン政権には期待する」と言うのです。

緻密な相談があるからこそ、改革を歓迎できる・・との弁護士の声も聞かれました。

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「司法制度改革で日本も思い切ったことをしているね」と声をかけられますが、イギリスも同様に、大きな変化があるのだと感じました。

なぜこれだけの改革を?と聞いてみると「変化が好きな時代だから」との一言。
目に見える変化」をしたいものだと、説明してくれました。

ということで、三権分立のための改革、立法の仕方のバリエーションなど、改革案が練られています。

しかし、古き伝統も、改革されなければ、目に見えるとは言えません。

そうして出てきたのが「カツラ」です。
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イギリスの裁判所の法廷ではカツラが被られています。私も実際に傍聴して見てみると、驚きました。
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今では映画や絵画でしか見ないと思っていたら大間違い。
13世紀からある!という法律事務所が並ぶ古い通りを歩いていると、・・・・カツラを被った不思議な出で立ちの人たちが歩いています。
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古くはフランスから輸入された文化ですが、イギリスらしく今も伝統を残しているのです。

「しかし。これに意味があるのか?」という疑問が当然ありました。
・・・・ということで、4年前から議論されてきたものの、イラク戦争で中断されていました。

それが、とうとう廃止の方向が固まった、との情報を聞きました。来年1月から廃止されるとのこと。
そこで本社に電話をし「桂です。カツラが無くなるって話をやろうと思っています」という、通じにくい連絡を入れました。

そして知り合いに電話をし、カツラを見せてもらいたいと御願いし、備えました。

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快く応じてくれたのはローゼン弁護士。国際紛争などを手がけています。

綺麗な箱からカツラを取り出してくれました。
もう30年も使っているといいます。

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美しい艶のあるカツラ・・・馬の毛だとか!

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当時で350ポンドだといいます。(対円が1ポンド250円となっているため約9万円!)
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氏の感想;
暑くてね~あと長くつけていると頭が痛くなるんだよ」

なるほど!

そして。

「国際的な、ビジネスの法廷ではふざけた印象を与えるのも事実だ」と言います。

たしかに。

景気のよいロンドンではビジネスの話が多くなっているだろうから、「不都合だ」と感じるのは当然です。

私も被ってみました。

正直、暑かったし、チクチクしました。夏なら汗をかいて、かぶれると思いました。
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カツラ屋を訪ねてみると・・・実に綺麗にカツラが並べられていました。法廷弁護士のもの、裁判官のもの、などそれぞれ特徴があります。高いものでは40万、50万のものもありました。
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カツラ屋いわく「全て手仕事なのだから当然の値段だ」とのこと。
カツラを眺めていて、法廷弁護士に憧れる若い人にとっては、職業の象徴ともいえるものなのではないか、とも思いました。

そうして文化は残ってきたのかもしれません。カツラがファッションだとされた時代から200年余り。今も残しているのがイギリスらしい。
もっとも、ここで現実的意見も付随してくるのもイギリスらしいのです。

「残した方がいい」「カツラは武器なのだ」との意見が聞かれました。

いったい何だろう?・・・・と思う方、下の写真を見てみてください。↓

複雑なそして凶悪な事件が多くなるにつれ、カツラは大いに個人の特徴を隠すのです。

テロの裁判も多くなり、今では返ってこれが有効となっていたわけです。

確かに・・髪の毛だけで人の印象はだいぶ違います・・。
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若い法廷弁護士にとっては若く見えない、という「年齢」さえ隠す効果もあるとか。
・・・・・・ということで、民事法廷でのみ廃止し、刑事法廷では残ることになりました。

だからこれからもロンドンの法律事務所街や、裁判所で見ることが出来ます。

しかしこの「カツラ」・・・・新政権になり、風通しをよくする「変化のしるし」では、と感じました。

これからどんな変化が見られるのか、楽しみです。


「産むための選択」代理母制度

(2007/07/11)


 

去年秋から今年の春にかけて英国の「代理母制度」を取材しました。英国では90年以降、手続きさえすれば、代理出産で生まれた子供を「実子」とすることが認められています。

いきなりですが、代理出産で産まれた子供を見たことありますか?

ということで、訪ねました。
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こちらはオリバー君とアリスちゃん、15歳の双子です。
(年齢が、いかに前から制度があるかを物語っています)
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「母は1人で混乱はないんだよね」「生まれてよかったです」の言葉に、どっきりしました。
高校に通う彼らは、授業で代理出産についてプレゼンテーションをしたりしているそうです。


いったいどんな思いで他の女性に出産を依頼するのか。

母親リンダさんは、長い不妊治療の末~AT THE END OF THE DAY~という表現で、
最後の手段として、「切実な思いで」選んだことを強調しました。

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養子をすればいいと言われたこともあるが、やっぱり自分の子供が欲しいという自然な思いだったといいます。

「でも。こうした制度は長いこと闘った末にこの国で実現しました、運動は動かなければ始まりません」、そうリンダさんが話したことも印象的でした。

そして。

「とにかく代理出産で肝心なのは、代理母との信頼関係だ」とのこと。

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過去の例では、10か月もお腹の中に居た子供を手放したくないと気持ちの変わる代理母も居て裁判になったりしています。・・・・いくら進んでいるとはいえ、産んだ女性が最初の段階で、母親であることには争いはありません。

出産後に手続きをするわけですが、それは当人同士の信頼関係でやるもの。法的義務はないため、余計に2人の間の関係が大事なのです。
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リンダさんは、友人関係を続ける努力をしたといいます。

彼女が話した言葉の重みは、代理出産を支援する団体の会合に通うと、さらに実感できました。
そこには多くの女性が集まっていました。
(中には男性の姿もあり、家族単位で行動する風景に日本との違いもちょっと感じました)

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中に、涙ぐむ女性が居ました。彼女は、「代理母」の側でした。
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妊娠したわけでもないのに、代理出産をするためには薬を飲んだりして、体調が悪いのだといいます。

さらに、「困っている旦那の親戚に依頼されたから断れなかった」、「でも旦那は複雑な表情をする」・・・そう話し、いかに大変な作業かを語ってくれました。

他にも「人生で自分の出産より遥かに大変だった」という人も居ました。

英国の代理出産制度は進んでいるといわれていますが、それでも多くの問題点や悩みを抱えていると感じました。

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1)依頼する側と依頼される側の間に法的拘束力はなくトラブルになる可能性が残っていること
2)補助制度が整っていない   など・・・まだ不備があります。

また、アメリカと違って「商業主義」を禁止しているからこそ、
「必要経費」以外は負担しなくてよいとされていますが、
逆に;
3)情報が不足し社会の認識も低い、との声も聞かれました。

これらに対応するため、新しい法案づくりを検討したい、と専門家や法律家らからは話していました。

まだまだ少数派である家族のことを考える「懐の広さ」を感じました。

こうしたことは日本では、まだまだ先のことかもしれません。法律や制度も違います。

ただ、代理出産で生まれた子供、代理母、依頼した母、の3者の「笑顔」を見て感じたこと;
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それは素朴に同じ女性として、「選択肢」があるのはいいことではないか、ということでした。

英国もこれからまた変わろうとしています。
日本でも検討されていくといいなと・・思います。
向井さんのケースでの「最高裁決定」、その文面に込められた思いを見ても、改めて思いました。


私は中身で勝負する~英国ブラウン新時代へ

(2007/07/01)


 

英国首相官邸、6月27日午後0時15分。

あと1時間と少しで首相はトニー・ブレアではなくなる。
いつものゲートからダウニング街に入ろうとすると警官に止められた。
特派員証を示し「取材だから」と説明しても
「ダメ、ロックアウト!」
隣を見るとチャンネル4の名物キャスター、
ジョン・スノーまで同じ憂き目にあっているから仕方ない。
首相が戻ってくるまでゲートは開けないつもりのようだ。

その頃、議会下院ではブレアが最後の党首討論に臨んでいた。
「・・・皆さんお元気で。これで終わり。ジ・エンド」
さらりと締めくくったブレア。
労働党のメンバーがいっせいに立ち上がり拍手。
保守党党首のデビッド・キャメロンも、一瞬迷いを見せたが
「仕方ない、俺たちもやろうぜ!」とばかりに立ち上がった。
与野党が恩讐を超えスタンディングオベイで見送る様子は
素直に感動を覚えるシーンだった。

午後1時15分、
議会から首相官邸に戻っていたブレアが
家族と共にナンバーテンのドアを開けて出てきた。いよいよお別れだ。
「あなた方と会えなくなっても別に寂しくないわ!」と
茶目っ気たっぷりで毒舌を吐く夫人に取材者たちも苦笑い。

その時、報道陣の背後から金切り声が響き渡った。
「トニー!私たちの前で謝罪して!」
イラクで命を落としたイギリス軍兵士の家族らである。
許可を得て制限区域内に入っていた。
ブレアはちらりと見やることもなく首相車に乗り込む。
ゲートを出れば反戦団体のプラカードが待っている。

大量破壊兵器が見つからなかったことで国民を欺いた形になったブレア。
メディアを通じた国民との近さが魅力だった彼にとって
言葉が信用されなくなったことは致命的だった。

ブレア時代に影を落とすもう一つの問題は、
上院議員推薦に絡む労働党への不正融資疑惑
“キャッシュ・フォー・オナー”である。
この日、官邸前を通りすがった
スコットランド国民党の下院議員アンガス・マクニールは怒っていた。
「おい、さっきのアプローズ(拍手)をどう思った?おかしいと思わないかい?」
この疑惑をロンドン警視庁に告発した張本人である野党の爆弾男は、
ブレアに拍手はふさわしくないと怒っているのだ。
実は先週、ブレアが現職首相として3度目の
事情聴取を受けていたことは後から明らかになった。

「ショーマン」「アクター」
皮肉も込めてそのメディアテクニシャンぶりを評されるトニー・ブレア。
北アイルランド和平、サミット温暖化合意、
幾多の実績が退任の花道を飾る一方で、
きれい事ばかりではすまない宿命も抱える。

官邸を出た首相車はバッキンガム宮殿に向かった。
ブレア劇場の最後の幕は、罵声と怒号の中に閉じた。

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午後3時。
官邸前には新首相ゴードン・ブラウン(56)の野太い声が
スピーカーを通じて響いていた。
「新しい政府には新しい政策の重点がある」
ブレア流との決別を表明する。
過剰とも批判されたスピン=情報操作。
イラク戦争の傷跡に苦しむイギリス国民の間には
ブレア時代への疲れと嫌気が漂う。

英国経済拡大の立役者を演じた重量級首相の誕生。
対するはメディア戦略も巧みな弱冠40歳の若手党首。

イギリスは新たな時代に入った。


PS そんなブラウン政権を同時テロが襲った。
イラクの日常をイギリスに持ち込もうというのか?


北の国から*その弐

(2007/04/04)


 

グリーンランドでの撮影話、そして発見について触れたいと思います。

デンマーク統治領とはいえ、世界最大の島とも言われ独自の文化を持つグリーンランド。

そこでは驚いたことに、多くのアジア系の顔を多く見かけました。
古くは大陸が繋がっていた時に渡ってきた人たちだとか。
現地の言葉を英語で通訳してくれたミナも、まるで日本人のような・・?
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取材をした漁師たちも、親しみを覚える顔つき。
「中国系、インド系、タイ系と色んな顔が居る、その混在ぶりは独特だ」と言う人も居ました。
中には自分の父親そっくりの人も居て驚きました。
ojisan shukushou.JPGzubon shukushou.JPGajia kei  shukushou.JPG

(写真注:彼らが着ているのはシロクマの毛皮です。とても大事に使われていました)

撮影の大半は犬ぞりに乗って行われました。下は氷、走るには車は重すぎるし、平らではありません。
・・・ということでお世話になりました。

といっても、決して言いなりにはならない犬たち。

走っていると、トイレはもちろん、他の犬たちに絡んだりケンカしたり。時には群れを離れて、違う方向に暴走します。とにかく、やんちゃでした。

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だからなのか・・・2時間、走っては・・・・すぐに休憩・寝ていました。人間同様、大事な術です。
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しかし・・・犬ぞりは過酷です。 
山を滑り降りるのが好きな私も、スピードは遅くても、ブレーキの無い犬ぞりとなると、違った驚きがありました。およそ10時間、氷の上をガタガタと音を立てながら、進みました。

・・・時には協議を重ねながら。

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ロンドン支局のサイモンB・カメラマン、古高史子助手もアザラシの毛皮の服を借り、取材しました。
剣道に合気道と、武術で鍛えられた「侍」のような忍耐力を持つ2人。
吹雪にもなった滑走中、口や手は凍っていたので、日頃のあうんの呼吸がいきた形でした。

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そうしてたどり着いた漁場。

行われていたのは意外な漁の方法でした。

ザクザクと氷に切りこみ、開けた穴から、1メートルもある「オヒョウ」をつり上げていました。HALIBUTと呼ばれる魚、これは欧州でも人気のある魚です。日本にも多く輸出しているとか。

その魚を、その場で切って刺し身にして食べたり、周りの天然冷凍庫に保存していました。
そうして、また数十メートルもの糸をたらして・・・翌日また釣り上げる・・・というのが彼らの漁の仕方。

漁場では魚の骨も大事に料理していました。
寒いので、食糧は無駄にできないとのこと。

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そりを牽引していた犬たちも、この新鮮な魚を、食事にしていました。


旅の途中、小屋に一泊しました。
電気も水道ももちろんありません。が、十分な場所でした。

灯りは発電。石油ストーブを炊いて料理をすれば、一気に体が解凍される気がしました。

ryouri shukushou.JPG

そして、こちらは氷を火にかけています。
天然の氷河
まさに「究極の天然水」です。

ice shukushou.JPG


ところで!

取材で何よりも大事なカメラ。


実は平らではない場所を移動中、漁師がカメラに着地!壊れてしまいました。

が、そのカメラを・・あっという間に、巧みに直してくれました。

しかもこれが非常に「頑丈」!

いまだに壊れていません。

2007 march  greenland 038.jpg2007 march  greenland 037 camera shukushou.JPG

現地の言葉と英語。言葉は通じなくても、色々と身ぶり手ぶりの会話で通じた気がします。

・・・そうして夜がふけると、皆、あっという間に眠りにつきました。

yofuke shukushou.JPGneru ryoushi shukushou.JPG


あの犬たちはどうしているか?と気になり・・・・翌朝見ると、こちらも丸くなっていました。

2007 march  greenland marukunarune shukushou.JPG2007 march  greenland marukunaru shukushou.JPG

寒い中、いかに体力を温存するか?

これは、自然と身につけた「リズム」だと思いました。

生活アイデアといえば・・・!

グリーンランドに到着して、我々が最初に見たものは、こちらでした;

sekaiichino sori shukushou.JPGsekaiichino sori shukushou2.JPG


何か分かりますか?これは「世界最長のそり」だそう。
みんなで、ギネスの世界記録を目指したとか。。。

「どうせなら世界最長のそりで滑ってみたくてね」と地元の人たちは楽しそうに話してくれました。
かなり盛り上がったとか!

ojisan byebye shukushou.JPG

色々な人が移住しているグリーンランド。

彼らが丁寧に語ってくれたグリーンランドへの愛は、どこか我々日本人が見失いがちな自然な感情のような気もしました。


北極圏*北の国から*その壱

(2007/04/02)


 

本当に氷は溶けているのだろうか?
この“単純な質問”を心に、地球温暖化の影響を取材しにグリーンランドを訪れました。やはりテレビで伝えたいと思ったのです。ロンドンから飛行機で数時間の距離。ですが、北極圏とあって気温マイナス35度まで下がるくらい寒さは厳しかった・・。

2007 march  greenland ice  shukushou 48.JPG2007 march  greenland 008 shukushou.JPG

着くと・・・白銀の世界の中に色とりどりの屋根が浮かんでいて、洗濯物も干されていました。しっかりとここで生活が営まれていることを感じました。

2007 march  greenland 011 shukushou.JPG2007 march  greenland 024 colorful shukushou.JPG

漁師らと野山を約10時間、駆けめぐっての印象;

2007 march  greenland 142 shukushou.JPG2007 march  greenland dog sled049 shukushou.JPG

それは、変化の激しい国だというものでした。「氷の寿命」というものはあるものの、氷は確実に薄くなっていました。世界最大の島とも言われるグリーンランド、その変化の意味の大きさを実感しました。
2007 march  greenland ice shukushou.JPG

影響は深刻です。かつて犬ぞりで走っていた場所を、今は船が行き交っていました。そうして風景が変わるのをこの10年、見てきたと、多くの人が話してくれました。
観光協会でつくる地図も実際変わっていました。かつてハイキング出来なかったところが出来るまでになっていたのです。

こちらは漁の模様;
2007 march  greenland fishing shukushou desu.JPG

氷に穴を開けて魚を獲ることを続けている漁師たちは、氷が溶けた為に、かつて漁が出来た場所へ行けないと嘆いていました。

こう見えて・・・魚の大きさも変わったのだといいます:
2007 march  greenland fish shukushou 061.JPG2007 march  greenland fishu shukushou kore.JPG


さらに発電所の責任者が言うには;氷が溶け水の量が増えたため、これを使うためにグリーンランドは「水力発電所を増加させている」というのです。

温暖化は二酸化炭素の増加が理由なのか?・・・これは仮説に過ぎないと、現在、「ニュースZERO」に出演中の竹内薫氏も言われていますが、科学とはそういうものなのかもしれません。ただ、「確実に暖かくなっている」とグリーンランドの住民は口を揃えて話していたことが心に残りました。

地球温暖化について映画出演そして講演活動をするアル・ゴア元米副大統領に以前、ロンドンで話を聞いたことがあります。なぜ副大統領の時に対策が出来なかったのですか?と。答えは無言。代わりに「これからが大事なのではないか」と答える人が居ました。

現在、いくつもの企業が様々な壁に当たりながら環境問題に取り組んでいます。
そのビジネスは、グリーンバブルとも言われます。

ただ実感が沸かないのも事実です。
だからこそ、実感の沸きにくい状態を、実感できるように・・したいものです。

3月一杯でリアルタイムを卒業した、潜水士・「山本真純キャスター」とは水中風景を伝えていました。三宅島の海底噴火や生物、そしてサイパン海底に眠る戦争遺跡など。天候で中断する雰囲気の中、あえて潜ったバンザイクリフ。クルーには鬼だといわれたのですが、かつて万歳と言って飛び込んでいた「その崖」の下に差す水中の一筋の光・・・という光景を撮影できたとき、一同、その映像の「重み」について意見が一致しました。

2007 march  greenland filimg123 shukushou.JPG2007 march  greenland shuzaifukei shukushou.JPG

・・テレビの記者として少しでも考えるきっかけをつくっていけたら、と改めて思います。


テムズ川のように 英国観察雑感  

(2007/03/22)


 

イギリスでは「傘は持ちましょう」などと言う天気予報は見られません。天気がよく変わるためか、ロンドンを流れるテムズ川の水かさも毎日、変わります。
2007 rush 2.JPG

そのテムズ川の川底には色んな海洋生物が住んでいます。

鯨も居たり、朝の魚市場に並ぶ魚も泳いでいます。

去年初め、「上海蟹」を探しました。「日本での特定外来種指定」を受けて欧州でも増殖する現状を探ろうと思ったためです。雪の降る中、アラブ人カメラマンと、そして「蟹博士」と呼ぶべき英国の国立博物館の研究者と一緒に、テムズ川で上海蟹を探索しました。数時間、探索した末、数匹、発見することができました。

さすが蟹博士だ!と思っていたところ、なんとこの蟹博士が聞いてきました。「本当に上海蟹は食べて美味しいのか?」と。

博士の研究室には100年以上前のものをはじめ、2~30種類の上海蟹がホルモン漬けにして置いてあります。が、MITTEN CRABS (手袋のようなハサミを持つ蟹)という名前がついた、毛むくじゃらの姿を見ると、どうも食べようという気にはならないのだとか。蟹博士は「きっと上海蟹みたいなのはドイツなど大陸の方から流れてきたに違いない」と話していました。

テムズ川の川底と同様、イギリスの街中は実に多国籍です。

インド系、イスラム系だけではなく最近は、東欧の人が増えています。店員も多くが東欧系に。闊歩する女性たちは片言の英語を話す場合が多くなっています。そして彼女たちの元気のよい姿には毎回、驚きます。

ロンドンでの新年を迎えたばかりの地下鉄内。そこにはお酒をボトルごと持った女性があちらこちらに居ました。2007 January pic.JPGhspace="10"wine and tube2.JPG

写真で女性が片手にボトルを持っているのが分かるでしょうか?彼女はボトルごとワインをラッパ飲み。他にもウォッカをガブ飲みする女性も!2007年になったばかりの地下鉄の車内は大いに、盛り上がりっていました。

地下鉄の初乗りが約1000円になったこの日の風景は、まさに景気のよいイギリスをあらわしていると、感じました。


この景気のよい理由のひとつは、混在する多様さ・そして流動性、そこから湧き上がるエネルギーにあると感じます。


そして、上海蟹も潜んでいたテムズ川のように、イギリスは様々なものを「飲み込み」、実に巧みに「流れ」の舵取りが行われているのだ、と。

取材は細かい作業の連続ですが、石の裏にいた蟹を見つけるように何かが見つかると嬉しいものです。

国会の横に立つ労働党のジェントルマンクラブにお邪魔した際にも、その「文化」に、テムズ川の川底のように、うごめく世界を感じました。


テムズ川のように、変化が必要なときは一気に変わっていく、この国。

流れを見定め、そして川底をしっかりと見ていくことが出来ればと思っています!


落日!ブレアと、キャメロン人気

(2007/03/17)


 

髪の分け目が変わっただけで、また大騒ぎ!

英国政界の風雲児、
デビッド・キャメロンの周辺は常ににぎやかだ。

キャメロン分け目新聞.jpg

弱冠39歳で野党保守党のリーダーになって以来、
身内の反発も恐れぬ改革姿勢と
巧みなメディア戦略で話題を独占(小泉前首相と似てる)、
政党支持率でも労働党に勝っている。

今週は、
これまで左に流していた髪が突然右向きに変わり、
面白がった大衆紙が憶測を並べる。

「右流しの方が男らしく見えるから」 とか
「政治スタンスの変更を意味する」 といった根拠の薄そうな分析から、
「ハゲが進行してきたのを隠す為」という説得力ある解説も登場し、
BBCのモーニングショーにまでとりあげられる盛況ぶりだ。

実のところは
子供を連れて行った先の床屋さんで、
すすめられるがままにヘアカットしただけらしい。

画像 キャメロンこれで.jpg

「次期首相?」ブラウン財務相より、
野党のキャメロンばかりがここまで注目されるのも、
与党・労働党の目を覆う惨状に一因がある。

今週水曜の晩、ブレア内閣が議会に信を問うた
総予算200億ポンド(5兆円弱)の「核兵器リニューアル計画」。

なんと身内の労働党議員90人以上が 「反対」 。
ライバル保守党の賛成に助けられて
辛くも可決という屈辱的な結果に終わった。
議会周辺に集まった反戦団体からは大歓声。
こんなの日本だったら、 「政局」 だ。
画像 プロテスト.jpg

議決後、造反議員の一人に声をかけてみると
「あるかどうかも分からない未来の脅威にお金を使うのは馬鹿馬鹿しいわ」
とニッコリ微笑んだ。

首相もずいぶん軽くみられたものである。

根拠のない大量破壊兵器を理由にイラク戦争に突き進んだ事が、
ブレア時代の幕引きにつながった。
コソボやボスニア紛争への軍事介入から学んだ
タフな外交姿勢が仇になったとの見方もある。

先日会う機会があったイギリスの元外交官は、
「プライム・ミニスターが外交に力を入れすぎると失敗する」
と語っていた。

国民を高揚させて支持率を容易に高められる反面、
リスクも大きいということか。

含蓄ある言葉に思える。




スパイ、そして・・・スピン

(2006/12/18)


 

ロシアの元スパイ・リトビネンコ氏殺害事件で、
一躍有名になってしまったロンドンの日本食レストラン(寿司バー)「 Itsu ~イツ」。
飲食店が放射性物質汚染の疑いありでは、さぞや意気消沈かと思いきや、
どうしてどうしてたくましい所を見せている。

このほど、休業中の外装をご覧の通りスパイ映画007でおなじみのデザインに模様替えし、
おまけに「国際スパイ事件で一躍世界中で有名になってしまった私たちのレストランをこれからも宜しく」などと、大きく宣伝している。通行人もビックリだ。
isaji.bmp
不幸なこの店舗、3週間前の日曜日、当局による検査の目隠しのつもりか
ガラス張りだった店構えが、一面真っ黒な板で覆い尽くされた。
その真ん中に小さく「Itsu」と遠慮がちに店名が書いてあったのだが、
翌朝行ってみると、異変が起きていた。
「Itsu」のロゴが一晩でふた回り位大きくなっている。
どうせテレビに映されるなら宣伝に使ってしまえということか?
転んでもタダでは起きない英国人気質が垣間見えて面白かった。
一定の効果があったか、その後明るいショッキングピンクの装いに変わり、今度はコレである。


マスメディアによって伝えられる映像、情報をいかに自分たちにとって有利なものに導いていくか、
これは企業に限らない命題だ。

先週、ブレア首相は一大ピンチを迎えた。
上院議員への推薦をめぐる労働党への不透明献金問題で、
ついに現職首相として初めてロンドン警視庁の事情聴取を受けたのだ。
当然、その日のテレビはブレーキングニュースとして大々的に伝えた。

だが、翌朝の主だった新聞各紙のフロントページは、別のネタで埋め尽くされていた。

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やり直し サン.jpg

ちょうど同じ日、ダイアナさんの事故死をめぐる調査報告が発表されていたのだ。
思わずうなった。
「…これがスピン・ドクターの戦略か?!」

政界にあってマスコミ対策を専門にしている広報専門官を通称スピン・ドクターと呼ぶ。
イギリスでは過去にブレア政権のキャンベル氏が有名だった。
キャンベル氏の部下だった元BBC記者の著書
「THE SPIN DOCTOR’S DIARY~スピン・ドクターの日記」には
大手メディアの記者たちとのウラの交流ぶりが赤裸々につづられていて驚く。

彼らは様々な手練手管を用いてスピン(主に、情報操作で都合の悪いニュースから
大衆の目をそらす意味)を試み、メディアを操ろうとする。
例えば政府に都合の悪い発表を、同時テロだとか大きな事件の日に重ねることによって
マスコミの報道振りを小さく抑えるのは基本手法でもあった。

フィナンシャルタイムズ紙の報道によると、
今回の事情聴取の日取りは、ブレア首相の希望で決められたという。
ダイアナさんの報告書発表は以前から決まっていたから、疑念は残る。
英首相官邸「ダウニング10」は当然ながら意図的ではないと否定しているが、
野党は早速「スピンドクターが古い手を使った」と批判している。

スパイの国、情報の国、イギリスにいると、
何事につけて謀略めいて見えてくるのは気のせいだけではないのかも知れない。


スパイの国

(2006/12/11)


 

初秋、英国情報機関の元スパイを取材した。

どこにでもいそうな風貌と、決して本心を明らかにしない、やりとりや表情。
それでも聞き出したい・・・名前を連呼し、訴えては引き・・長いこと、話し込んだ。
インタビューは、まさに「駆け引き」だった。

2006_1212_056.jpgspy temoto .jpg

ようやく口にした言葉からは、厳しい世界が、かいま見られた。

決して派手ではない毎日だが、
・・・目の前のペンを手に「これでも殺せる」と語った時の目は泳いでいなかった。


イギリスに赴任してから、ここは「INTELLIGENCE=情報、知恵」の国だと感じる。
ロシアの元スパイの殺人事件では尚更、そう感じる。
・・これまでイギリスを支えているのは明らかに、こうしたインテリジェンスだと思う。
それは文化の一つとして発信されている。

真実をかわし、言葉にする文化。皮肉まじりの冗談。
あるいは結論の出ない議論に現れている時もある。

しかし意外な事実に支えられているとも思った。


日本でも今月、公開された新作007ボンド映画。
「ボンドらしくない」との前評判だった主演のダニエル・クレイグ氏は「人間らしいスパイ」を演じきった。
それは、これまで余り見られない、スパイになるまでの「人間くさい・泥臭い」、「失敗もする」姿だった。
これが受けて、映画は好調だ。

007 jpg.jpg2006_1212_054.jpg


インタビューやプレミアの赤いカーペットで語った言葉は、謙虚で「人間臭い」言葉ばかりだった。
・・・実は、そこがポイントなんだと思った。

スパイ文化への理解はイギリスでは年々、高まっている。
様々な機関があるが、ほとんどが増員されている。

しかし、元スパイいわく「人間らしさ」「葛藤」が大事なのだという。
関わった人たちを亡くしたり、死に直面することがある。
だからこそ「人間らしく」あり、一緒に仕事をした人の逃げ道は守るのだという。

spy to MI6 .jpg

・・・・時には涙を見せ、時には笑い飛ばして煙に巻く。
だから武器は決して見せなくて済むのだと語っていた。
それを「自然」と国民は受け入れている。

「インテリジェンス」をイギリスは誇り、国力、文化として認識しているのだ。

特に、アメリカとの違いは歴然としてあると感じる。
当事者の訓練も違うというが・・。

去年、遭遇した同時多発テロ取材では、何よりもアメリカの反応との違いに驚いた。
「平静に毎日、行動する」ことを・・・政府も、そして市民も当然としている。

国力というものが何なのか?を感じる毎日。

規模も実情も違うが、「日本」へ向けた刺激を受けざるを得ない。


「外国ボケ」は怖いけど…

(2006/12/10)


 

ドキュメンタリー番組の編集のため先月、1年ぶりに東京に帰った。

ロンドンと東京の時差は9時間(夏は8時間)。東京の方が早く夜が明ける。
普通なら時差ボケに苦しむが、今回は逆。凄く役に立った。

画像 ビッグベン

というのも、例によって編集作業は連日明け方まで続くので、ベッドに入れるのは毎朝6時前後。イギリスでいうと夜9時に相当するから、早すぎる位の健康的な就寝時間となる。
正午の目覚ましで「起床午前3時」の計算になるので起きるのはつらかったが、
生活リズムを殆ど変えないで済んだ。
時差ボケ様サマである。

海外暮らしで本当に怖いのは外国ボケ、あるいは駐在員ギャップともいうべきものだ。
習慣の違う国に暮らしているとどうしても日本国内のセンスとズレが生じやすい。

英国在住30年のビジネスマンに教えてもらった「デワノカミ(ではの神)」なる言葉。
海外かぶれで何かにつけて「イギリスでは…」「アメリカでは…」と
偉そうにぶつ人をいましめるフレーズらしい。
確かに外国で「これは素晴らしい」と思っても、日本の社会、風土に通用するかどうかは別問題。
押し売りは禁物だ。

01.jpgだが、今回製作したドキュメント「敗北外交」の主人公、経済産業省の現役官僚・前田充浩氏は、あえてイギリスを手放しで絶賛した。

「国際会議で、ただ自国の利益だけ主張するんじゃなく、
世界の公益をエレガントに論じている。
それがひいてはイギリスの国益につながっている。うまい」


02.jpg「異端」を自認する前田氏は、
先輩たちが手がけた過去の国際交渉を敗北と断じ、
「資料を残さず反省を生かさない」日本流の組織構造を批判。
イギリス随一のシンクタンク
チャタムハウスに入門し、
タブーを破る研究「日本はなぜ負け続けるのか」を書き上げた。
その前代未聞の試みに注目し、NNNも丸1年にわたり動きを追った。

だが、イギリスを真似るだけでは足りないことも
彼は分かっていた。

「日本が経験した失敗を、新興国のために生かせないか」

前田氏が再び政府代表を務める
OECD(経済協力開発機構)輸出信用部会では今、
急激な経済成長を続ける中国と
国際市場の調和が焦点となっている。
アジアの先頭に立って来た日本が、いかに議論をリード出来るか、
外交力が問われている。

イギリスで多くを学んだと熱く語る前田氏は
「外国ボケ」を超越して、走り出したかに見える。


秋 /ああ・・と言う「ART」その弐!

(2006/11/11)


 

ああ・・と②<<海の中に人体彫刻?>>

今月、取材したもの。

英中部リバプール近くに広がる海岸に、100体!の彫刻が並んでいます。
裸のアイロンマンと呼ばれる、この作品。

アンソニー・ゴメリーという人気のイギリス人芸術家の作品で、
海岸3キロに渡り、散らばって・・海の底深くに埋め込まれていて、
潮の満ち引きと共に、実に様々な表情を見せます。
  
それは、本当に幻想的。
多くの観光客が押し寄せるのも、よく分かる気がしました。

man in the sea.jpg

でも・・・・ちょっと迷惑。

船は航行禁止、ジェットスキーも禁止。
ぶつかったら間違いなく船底に穴があくのだとか。
・・・漁師たちは、船をひいて通行料を払って毎日、橋を渡るのだといいます。

海にかかしのように立ち、鳥を怖がらせているという地元の人も居ました。

さらには、見に来た人たちにとっても;
「あそこにもある」「ここにもある!」・・とか言っていると
歩いていて「陥没」!!、「足をくじく」「腰まではまる」のです。

さらにはこの「鉄のかたまり」にぶつかったり・・・するケガも報告されているとか。

作品のテーマは「人間と自然」。
期間限定で設置されていたものの、このテーマと向かい合いながら、
もう少し地元に残されることになりました。

ビックリしながらも、イギリス流「芸術鑑賞」の深さを実感しました。

テレビで伝えられるものの一つ、として伝えてみました。

こんな「ああ・・・」という鑑賞もオススメです。


秋 / ああ・・と言う「ART」その壱

(2006/11/10)


 

秋です!
イギリスでは間違いなくグルメの秋ではなく、芸術の秋。
入場料無料の美術館が多いのですが、
そこで遊び心一杯の「変わった芸術」に出会うことが出来ます!   

まずは・・・・・・

<<なぜ滑る?>>

先月上旬に、取材したのは「すべり台」の作品。
工事中の時から目をつけていたものでした。

だって、これ・・・ただの滑り台ではないのです!
高さ27M、5階の高さから滑り降りるという、とっても怖~いものなのです。
なんでもドイツ人作家に聞くと・・・・真面目な顔をして、
「コントロールを失う体験が目的」だとか。

その哲学とは、「大人になると自分や他人をコントロールしようとして必死になるが、
          そうではないということを体験することが大事だ」とのこと。

へえ・・なんて思いながら、朝一の寝ぼけた頭で乗ってみたら、声を失いました。

それは「滑る」というより「落下」。

そして、「ああ・・・と」・・いう間に「放り投げ出される」のです!

slide .jpg2006_1009_011.jpg

落ちてコロコロコロと転がった私を見て、美術館スタッフやマスコミが駆け寄ってきました。
「こんな早く投げ出された人、見たことないわ!」とは美術館責任者の台詞。
何でも身長制限ぎりぎりだった為、
摩擦が少ない私は、今までの中でも一番の速さで落下したとか。

「いけない・・取材対象になる」と必死で立ち上がってみたものの、
長袖を着ていたのに、腕は火傷、出血。 
そして頭が痛い;上半分が半透明のため、落下する間の景色は「回る美術館内」。
そして、まるで世界のどこに放り投げ出されたのか分からなくなるような感覚になりました。

<<果敢な挑戦者たち>>

この日、英大衆紙や、BBCテレビ、ラジオの記者も同じく挑戦していました。
皆・・・かなりの年齢なのですが、
イギリス人らしい「根性」「思い切り」と「ポーカーフェース」で。

インディペンデント紙の50歳代女性記者は、「こんな私でも出来た」という記事を書き、
そしてラジオの記者は、落とされる勢いの中で、必死で何度も実況を試みていました

私も小型カメラを持ったりして・・・計7回、「落下」。

落下した分、得たものは、笑いと火傷と・・・・・
何よりもイギリスの文化を十分、味わいました。


~~後日~~
しばらくして、このすべり台、
着陸地点のクッションを増やすなどして改良されたと聞き、安堵しました。
いい実験台になったようで良かった?かもしれません。

今や・・・整理券を買って、一日待っても乗れないほどの長蛇の列。
ロンドンでも、ちょっとした話題になっています。

作家の夢は「ロンドン中を滑り台で繋ぐこと」、
そして・・「ロンドン五輪の目玉にすること」だとか!?
真剣な顔で、そう言っていました。

実際に、この効果に注目して、ミラノのプラダ本社にも設置されています。

美術鑑賞と言えば・・・静かなものばかりではないようです。
発想の転換、そしてこの遊び心をどう思いますか?

一度はチャレンジをオススメします。・・・・でも覚悟してください!


トルコの教訓

(2006/10/30)


 

電話が鳴ると「ドキッ」とする時がある・・・
まさにそんな感覚でとった電話で、取材することになった。
トルコで起きたバス事故。日本人観光客の乗ったバスが雨の中、スリップし横転したのだ。
ロンドンから12時間ほどかけて現場へ向かった。
被害者の中に、面識はないが東京本社で働く女性も含まれていた。
必死で連絡をとってみる。きっとようやく取れた休みのはずだ・・・いたたまれない。

・・・しばらくして連絡があった。事故で荷物が吹き飛ばされてしまっていたのだという。

取材した事故現場はひどかった。石が割れ、地面が削り取られていた。
ひどい形になったバスも見た。いったいどういうことなのか・・・
警察当局や、旅行会社が話す理由を取材して憤りと悲しさを感じた。
この事故で、一人の尊い命を失っている。また多くの人が苦しんでいる。

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上の写真の病院とは別の場所で、
事故後まもなく、痛みをこらえ、彼女はインタビューに答えてくれた。
彼女の一言一言を大事にしたいと思った。

先々週、日本に帰国できることになったと、ロンドンまで連絡がきた。
着いたらそのまま病院に搬送され、今も頑張っている。
今も世界中で、多くの日本人観光客が旅をしている。
・・・・防げるものを防がないといけない。


「核実験」と「大統領暗殺」!?!?

(2006/10/15)


 

「北朝鮮の“狂人”がついに核実験をやらかした!」

その晩、ロンドンの路上で受け取ったフリーペーパーには激しい見出しが躍っていた。
9日の北朝鮮による核実験実施の発表は、イギリスでも勿論、
テレビが明け方から速報するビッグニュースだ。

さて横断歩道を渡ったところで今度はパラソルを立てた女性から
別のフリーペーパーを渡される。

9vHfJGmrTb.jpgd5GdcAx2iD.jpg

全面ブッシュ大統領の写真に
「GEORGE W BUSH 1947~TONIGHT 9PM!~
 ジョージ・ウオーカー・ブッシュ、1947年生れ、今夜夜9時 没!」
の見出しがあしらわれている。
勿論こっちはインチキ、テレビ番組のコマーシャルである。

そう、今宵はこの1ヶ月しばしば新聞紙上を賑わしてきた英・民放チャンネル4の問題作
「DEATH OF A PRESIDENT~ある大統領の死」が放送されるのだ。
とはいっても有料のデジタルチャンネルMORE4での放映なので、
契約者以外は家で待ってても観られない。

以下は録画で確認した中身を軽く…。

物語は垂直のフカンでとらえた市街地や共同墓地のヘリショットから始まる。
サスペンス映画の味わいだ。
続いてシカゴ空港に到着したアメリカ大統領専用機エアフォースワン。
降り立つブッシュ大統領の実写映像。
市内に入った黒塗りの専用車には待ち受けた反戦デモの市民から
「ブッシュは来るな!」のプラカードが掲げられる。

時折、警察幹部や容疑者の親族ら(勿論俳優)のワンショットのインタビューが、
ニュース映像をそのまま使った大統領の演説などの合間にはさみこまれる。

本当のドキュメント番組?
と見まごう作りで視聴者をひきつけたところで問題のシーンだ。

会場を後にしようとしたブッシュ大統領が凶弾に倒れる。
駆け寄るセキュリティガード。はためくフラッシュ。
激しいカットバックで緊迫の映像が構成される。
現場となったビルの玄関を記録した監視カメラのビデオ映像。
そして容疑者の指紋・・・。
数々の証拠からアメリカ生まれのイスラム教徒らが浮上し、逮捕されるが、
真犯人は別のところにいた・・。

新聞紙上のレビューを眺めると
「これだけCONTROVERSIAL(議論の的になる)番組を作るなら、もっと掘り下げて欲しかった」
「テロリストたちに新たな手口を教える意味があったのか?」
と放送前と同様辛口の批評もみられたが、
ブッシュ氏本人にとっては悪い番組じゃなかった、とのミカタも。
テロとの戦いの矢面に立った悲劇の英雄ともとれるからか。

製作したチャンネル4はイギリスでも面白い位置づけのテレビ局で
古い資料によると、設立時
「ほかの3つのチャンネルでは満たされない関心にこたえること、
番組の形式と内容で新しい試みや実験を行うことが放送法で義務付けられた」
のだそうだ。(「世界の放送」1988年版)
確かにブレア政権の閣僚を茶化したドラマなど大胆な番組を良く見かける。

英国内での反響はまだ何ともいえない。
週末、特派員協会で会ったカナダ人記者も「観られなかったわ」と残念そうに話していた。
地上波のチャンネル4で今週、再放送されるから、
今度は多くの視聴者の目に触れることになり反響の度合いも見えてくるだろう。








「新旧」まぜて

(2006/10/05)


 

今朝、吐いた息が白くなった。
ロンドンは気温が下がって雨も多くなり、徐々に「霧の街」となってきた。

朝、寄る商店がある。そこには雑誌や新聞がずらりと綺麗に並べられているため、
新聞の紙面を一気に見渡すことができる。
色も見出しも実に様々で、とても面白いのだが、実によくこれだけの新聞が並んでいるなあと思う。

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加えて、最近ではフリーペーパー(無料の新聞)の創刊ラッシュが続いている。
このフリーペーパー、政治からエンターテイメントまでと実に内容が充実している。
よくこれだけの内容を毎日、載せ、そしてタダで配るものだと感心する。

イギリスは何にしても、新しいものへの取り組みが、一気に進む印象がある。
「とりあえずやってみる」という発想なのだろうか。

その一方で、もちろん古いものや古い習慣は今も多く残っている。

例えば、とても身近なものでは、ロンドンのタクシー。
まず行き先を告げてから自分でドアを開けて、乗る。
そして車を降りてから料金を支払うという、昔ながらのシステムなのだが、
先日、タクシーの運転手と話していて
「日本にはドアが自動のタクシーがあるそうだが?」と聞かれた。
「ああそうだよ」と答えると「へえ。でもイギリスには必要ないね」と,
あっさり結論づけられた。

たぶん古いものはこうして残っていくのだろう、と思う。

そうして夜、帰宅して冷凍庫を開けると、扉が全部凍っていた。
その「冷凍」ぶりは見事で、1時間から1時間半程度、
フォークやナイフでザクザク!ザクザク!とひたすら氷を削り、
何とか1つ扉を開け、そして食べ物にありついた。

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しかし、よく調べると冷凍庫の扉がきちんと閉まらない構造である上に、
昼間に電源がよく落ちていたことが分かった。
特に驚きはしないものの、なぜこのままだったのか、大量の氷を手にして、ふと思った。

大家に話すと、「あら。前の人は使わなかったからねえ」
「じゃあ解凍させてから考えましょうか」と言われた。

柔軟なのか、あるいは図太いのか。
古いものを残しつつ、状況が変われば全く動じずに見事に対応する姿勢には感心する。
いずれにしても、とても現実的なのだ。
そして、これは取材で出会う様々な世界の人たちに、みな共通している気がする。

そんな「新旧」の発想をまぜて、変化を続ける国だから、とても面白いと思っている。


不審物?さあどうする

(2006/10/03)


 

LW8tXzhkM9.jpgラッシュアワーでぎゅうぎゅう詰めのロンドンバスも、市中心部の目抜き通り、
オックスフォード・ストリートを過ぎると、急にがらんと空いてくる。
パソコンや雑誌でやたらに重いバッグを抱え、「やれやれ…」と腰掛けると、
程なくイヤな物が目に入る。
薄汚れた旅行用トランクが、運転席近くの荷台に置き去りにされている。
持ち主の姿はない。
乗っているのが1年前の同時テロで爆破されたのと同じ、あの新型二階建てバスならば、
いやでも忌まわしい記憶がよぎる。
(どうしよう、運転手に知らせるか…)

去年の今頃なら、自分でなくても誰かがすぐ運転席に駆けつける位の緊張感があった。
しかし最近は、良くも悪くも空気は緩んでいる。
(爆発してからじゃ遅いけど…まあ待て、持ち主は二階の席にでも座ってるんだろうさ)
 実際最近も、重い荷物を持って階段を上がるのが面倒で、無造作に1階の床に放っていく乗客を
見たことがある。ここで行動を起こすのも取り越し苦労に過ぎるか?
逡巡するうちにバスは終点に到着。トランクはまだ残っているが、その日は
持ち主を確認している余裕もなかった。

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7月7日の惨事から1年余り。ロンドンの交通機関は活気を取り戻した。朝晩の地下鉄やバスは、
通勤の会社員や旅行客でごった返している。
だが、潜在するテロの脅威は、旅客機テロ計画でも証明された。
実際に不審物が、警察に通報される例も多い。
私の身近でさえ、このひと月で2回の爆発物騒ぎがあった。
ゴミ箱やベンチの脇に残された持ち主不明のリュックや紙袋は、
ひとたび通報されるや全ての交通機関をマヒさせ、
駅前広場や目抜き通りを、ひと気のないゴーストタウンに変えてしまうのだ。
交通当局も対策の手を止めない。
不審者を監視するカメラは、地下鉄構内だけでも6000台を越え、さらに倍増される予定だという。
ロンドンで暮らす限り、この程度のことは当たり前に思える。異常が日常になってしまっている。


イギリスの空

(2006/09/26)


 

ヨーロッパの人は散歩が好きなようで、各国の都市に大きな公園がいくつもあります。
そこに週末、「ひたすら歩く」「読書する」「ピクニック」等のために多くの人が訪れるものの、
決して混み合わないのが特徴です。
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以前に私もイギリスのロンドン市内の公園「キューガーデン」に出かけて、その大きさに驚きました。
しかし、「まさに癒しの場所だ」と思った瞬間、大きな音が聞こえてきたのです。
・・・ヒースロー空港に程近いこともあり、場所によっては、
ひっきりなしに「キーン」という航空機の音が聞こえるのでした。

以前、90秒に1回の割合で、航空機が飛び立つもしくは降り立つという「イギリスの空の混雑ぶり」を聞いたことがあります。テロ計画の発覚の際にも、安全対策上の問題として取り上げられています。

4つのターミナルを持つヒースロー空港。普段はあれこれと飛行機に乗って飛び立つ方なのですが、
頭上で、ひっきりなしに聞こえる音を聞いて初めて、空の現実を実感しました。

テロの標的であったという話が尽きない中、どうか安全が守られて欲しいと強く思いました。

先月、チェコで行われた天文学連合の総会にて、宇宙に想いを馳せる人たちを取材しました。
望遠鏡などの技術開発によって、宇宙の「地図」が変わってきました。

しかしできれば頭上の空は、そうした夢の対象であってほしい・・ものです。

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ロンドンの落書きに思う

(2006/09/23)


 

先週末、ビクトリア駅構内の一角に、人だかりが出来ていた。
覗き込んでみると大きなホワイトボードにこんな問いかけが見える。

「あと1分しか生きられなかったら貴方は何をする?」

ビクトリア駅1.jpgなんのことはない、旅行会社の宣伝用デモンストレーションだったが、ロンドナーはこういう催しにはすこぶるノリがいい。余白もないほど埋められた書き込みを眺めてみるとなかなか面白い。

「神にただ祈る」とか「罪の許しを請う」とかキリスト教国らしいものから、「ウマいものを食べる」「ピンクフロイドを聴く」なんてたわいもないコメントに混じって、
「ブッシュを殺す」「ブッシュを一度生かしてまた殺す!」
と強い筆致で書かれているのが目を引いた。誰が書いたか知らないが、ブッシュ大統領といったらイギリスでもすっかり「悪役」イメージが定着してしまっている。ブレア首相がついに1年以内の退陣を言わされてしまったのも「ブッシュのプードル犬」だとか批判されたイラク戦争への対応が遠因だ。

場面はかわって9月初旬、フィンランド・ヘルシンキで行われたASEMアジア欧州会議。
ブレア首相は欠席し、ブッシュ大統領も元々メンバーではないので当然姿は見えない。
でもフランスのシラク大統領やドイツのメルケル首相、日本の小泉首相、中国の温家宝首相など、
アジア・欧州の38カ国の首脳が軒並み揃い会場は厳戒態勢だ。

そんな中にもどこか和んだ空気が漂っているのが不思議だった。 
会議の合間、記者団の目の前を首脳たちがぞろぞろ通り過ぎていく。
どこへ行くにもピリピリしたムードが漂っていた2ヶ月前のロシアサミットの会場とは明らかに違う。

「アメリカが参加していないだけでこんなに平和なんだよな」会場ではそんな冗談も聞こえる。
9・11同時テロ以来、アメリカを中心とする主要国と、テロリスト、あるいは「テロ支援国家」との対立は激しくなる一方だ。ブッシュ大統領の行くところ、どこに行っても激しいデモと、うんざりするようなテロ警戒が待っている。

そんな中、最終日に採択されたASEM議長声明には日本がこだわる「拉致」への言及がすっぽり抜け落ちていた。G8サミットと違って中国、韓国も加わるASEMで「北朝鮮包囲網」を構築するのは難しい。
「アメリカがいないとこうなっちゃう」と冷ややかな見方もある。 
一筋縄でいかない今の国際社会の縮図をみるような思いだった。

「ブッシュは嫌い」というのは簡単である。でも、拉致や核兵器の秘密開発などを進める問題国家に国際社会はどう結束して臨むのか、ハッキリ示せない限りは「ブッシュ批判」もただの感情論だと切り捨てられてしまうだろう。
いっこうに見えてこない答えを探して、外交取材の現場では悩ましい日々が続きそうだ。