去年秋から今年の春にかけて英国の「代理母制度」を取材しました。英国では90年以降、手続きさえすれば、代理出産で生まれた子供を「実子」とすることが認められています。
いきなりですが、代理出産で産まれた子供を見たことありますか?
ということで、訪ねました。

こちらはオリバー君とアリスちゃん、15歳の双子です。
(年齢が、いかに前から制度があるかを物語っています)

「母は1人で混乱はないんだよね」「生まれてよかったです」の言葉に、どっきりしました。
高校に通う彼らは、授業で代理出産についてプレゼンテーションをしたりしているそうです。
いったいどんな思いで他の女性に出産を依頼するのか。
母親リンダさんは、長い不妊治療の末~AT THE END OF THE DAY~という表現で、
最後の手段として、「切実な思いで」選んだことを強調しました。

養子をすればいいと言われたこともあるが、やっぱり自分の子供が欲しいという自然な思いだったといいます。
「でも。こうした制度は長いこと闘った末にこの国で実現しました、運動は動かなければ始まりません」、そうリンダさんが話したことも印象的でした。
そして。
「とにかく代理出産で肝心なのは、代理母との信頼関係だ」とのこと。

過去の例では、10か月もお腹の中に居た子供を手放したくないと気持ちの変わる代理母も居て裁判になったりしています。・・・・いくら進んでいるとはいえ、産んだ女性が最初の段階で、母親であることには争いはありません。
出産後に手続きをするわけですが、それは当人同士の信頼関係でやるもの。法的義務はないため、余計に2人の間の関係が大事なのです。

リンダさんは、友人関係を続ける努力をしたといいます。
彼女が話した言葉の重みは、代理出産を支援する団体の会合に通うと、さらに実感できました。
そこには多くの女性が集まっていました。
(中には男性の姿もあり、家族単位で行動する風景に日本との違いもちょっと感じました)


中に、涙ぐむ女性が居ました。彼女は、「代理母」の側でした。

妊娠したわけでもないのに、代理出産をするためには薬を飲んだりして、体調が悪いのだといいます。
さらに、「困っている旦那の親戚に依頼されたから断れなかった」、「でも旦那は複雑な表情をする」・・・そう話し、いかに大変な作業かを語ってくれました。
他にも「人生で自分の出産より遥かに大変だった」という人も居ました。
英国の代理出産制度は進んでいるといわれていますが、それでも多くの問題点や悩みを抱えていると感じました。

1)依頼する側と依頼される側の間に法的拘束力はなくトラブルになる可能性が残っていること
2)補助制度が整っていない など・・・まだ不備があります。
また、アメリカと違って「商業主義」を禁止しているからこそ、
「必要経費」以外は負担しなくてよいとされていますが、
逆に;
3)情報が不足し社会の認識も低い、との声も聞かれました。
これらに対応するため、新しい法案づくりを検討したい、と専門家や法律家らからは話していました。
まだまだ少数派である家族のことを考える「懐の広さ」を感じました。
こうしたことは日本では、まだまだ先のことかもしれません。法律や制度も違います。
ただ、代理出産で生まれた子供、代理母、依頼した母、の3者の「笑顔」を見て感じたこと;
それは素朴に同じ女性として、「選択肢」があるのはいいことではないか、ということでした。
英国もこれからまた変わろうとしています。
日本でも検討されていくといいなと・・思います。
向井さんのケースでの「最高裁決定」、その文面に込められた思いを見ても、改めて思いました。








