深刻化するパレスチナ人同士の衝突 2人の指導者直接取材から思うこと
■衝突はパレスチナ人同士
パレスチナ自治区・ガザ地区での流血が止まらない。
血を流しているのは、パレスチナ人。
だが今回は、イスラエルによる攻撃でパレスチナ人が死亡する、
といういつもの構図ではない。
衝突しているのは、パレスチナ人同士だ。
イスラエル建国によって土地を追われてから60年近く、
これまで占領された地域の返還と「独立国家パレスチナ」を目指し、
闘ってきたはずのパレスチナ人同士がなぜ争うのか。
今回このブログでは、衝突しあう2つの組織の指導者を直接取材した際の印象を紹介しつつ、
中東から遠い日本人には理解しがたい状況をできるだけわかりやすくお伝えしたい。
■「ファタハ」と「ハマス」
衝突しているのは、パレスチナの2つの組織「ファタハ」と「ハマス」。
この両者による内部抗争は今回が初めてではない。
ハマスが単独政権を運営していた去年秋から衝突は先鋭化していた。
しかし、パレスチナ人同士による内部抗争という最悪の事態に終止符を打つため、
サウジアラビアの仲介で今年2月、イスラム教の聖地メッカで統一政権樹立に合意。
これが一定の成果をもたらし、最近まで衝突は小康状態にあった。
統一政権では、治安権限を握る内務相に独立系のカワスミ氏が就任、
ハマスとファタハの治安部隊を再編し、秩序の回復に集中する部隊の創設を目指していた。
しかし、カワスミ氏は何の仕事も出来ないことを理由に14日辞任した。
カワスミ氏は辞任会見で、
「数々の障壁にあたり、私には何の実権もなかった」として、
ファタハとハマスの双方を非難していた。
■そして、内部抗争は再燃した
独立系のカワスミ氏が内務相を辞任したことで、
ハマス・ファタハの衝突が激化することが懸念されていたが、
まさにその通りの展開となった。
ガザ各地で衝突を繰り返し、14日からの双方の死者は40人近くに上っている。
問題の本質は、ファタハ・ハマスの双方が独自の治安部隊を持ち、
それぞれ増強を図っていることだ。
アッバス議長率いるファタハは、アメリカから支援を受けて武器を調達、
ハマス治安部隊の急速な勢力伸張に対抗しようとした。
ハマス側はこれに大きく反発、ファタハの治安部隊との再編を拒み、
独自に部隊の増強を図ってきた。
治安権限を巡る主導権争いの結果、
パレスチナ人同士が争う最悪の展開となった、というのが今回の事態である。
2006年2月ガザ市内のハニヤ首相の自宅にて
■「ハマス」率いるハニヤ首相
イスラム原理主義組織・ハマスを率いるのは、
統一政権で首相も勤めるイスマイル・ハニヤ氏だ。
私はハマスがパレスチナ自治区の選挙で勝利し、
ハマス単独政権が誕生する目前の去年2月、
ガザ市の難民キャンプにある自宅でハニヤ氏に取材した。
約束の午後12時半に自宅を訪問すると、
門番の一人が「来客があって対応できない」という。
それでもあきらめずに4時間以上待ち続けた結果、
来客を見送るために家から出てきたハニヤ氏に直接呼びかけることができた。
アポがあること、4時間以上待ったので10分でいいので時間をくれないかと交渉すると、
10分だけならという条件で単独インタビューが実現した。
■ハニヤ氏の印象
がっしりとした大柄な体格のハニヤ氏は極めて実直な性格の人物だった。
待たせたことを私に詫び、本当に時間がないので、10分を守って欲しいと言った。
通訳を通じて質問したが、答えるときには私の目をまっすぐに見据え、朴訥と語った。
インタビューの中で、ある印象的なやりとりがあった。
2000年から始まった第二次インティファーダ(パレスチナ人による対イスラエル武装蜂起)は
パレスチナにとって利益をもたらさなかったのでは、とした上で質問をしようとしたときだった。
私の質問を遮り、「インティファーダは多くのことをもたらした。」と強い口調で反論し、
ガザからイスラエルを追い出すなどの大きな成果をだしたという彼らの主張を延々と繰り返した。
非常にまじめで自らの信念には常に忠実、
妥協は認めないというハニヤ氏の性格を垣間見た気がした。
・・・・・つづく
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続きは、ファタハのアッバス議長を取材した際の話を中心にお伝えする。








