スパイの国

(2006/12/11)


 

初秋、英国情報機関の元スパイを取材した。

どこにでもいそうな風貌と、決して本心を明らかにしない、やりとりや表情。
それでも聞き出したい・・・名前を連呼し、訴えては引き・・長いこと、話し込んだ。
インタビューは、まさに「駆け引き」だった。

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ようやく口にした言葉からは、厳しい世界が、かいま見られた。

決して派手ではない毎日だが、
・・・目の前のペンを手に「これでも殺せる」と語った時の目は泳いでいなかった。


イギリスに赴任してから、ここは「INTELLIGENCE=情報、知恵」の国だと感じる。
ロシアの元スパイの殺人事件では尚更、そう感じる。
・・これまでイギリスを支えているのは明らかに、こうしたインテリジェンスだと思う。
それは文化の一つとして発信されている。

真実をかわし、言葉にする文化。皮肉まじりの冗談。
あるいは結論の出ない議論に現れている時もある。

しかし意外な事実に支えられているとも思った。


日本でも今月、公開された新作007ボンド映画。
「ボンドらしくない」との前評判だった主演のダニエル・クレイグ氏は「人間らしいスパイ」を演じきった。
それは、これまで余り見られない、スパイになるまでの「人間くさい・泥臭い」、「失敗もする」姿だった。
これが受けて、映画は好調だ。

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インタビューやプレミアの赤いカーペットで語った言葉は、謙虚で「人間臭い」言葉ばかりだった。
・・・実は、そこがポイントなんだと思った。

スパイ文化への理解はイギリスでは年々、高まっている。
様々な機関があるが、ほとんどが増員されている。

しかし、元スパイいわく「人間らしさ」「葛藤」が大事なのだという。
関わった人たちを亡くしたり、死に直面することがある。
だからこそ「人間らしく」あり、一緒に仕事をした人の逃げ道は守るのだという。

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・・・・時には涙を見せ、時には笑い飛ばして煙に巻く。
だから武器は決して見せなくて済むのだと語っていた。
それを「自然」と国民は受け入れている。

「インテリジェンス」をイギリスは誇り、国力、文化として認識しているのだ。

特に、アメリカとの違いは歴然としてあると感じる。
当事者の訓練も違うというが・・。

去年、遭遇した同時多発テロ取材では、何よりもアメリカの反応との違いに驚いた。
「平静に毎日、行動する」ことを・・・政府も、そして市民も当然としている。

国力というものが何なのか?を感じる毎日。

規模も実情も違うが、「日本」へ向けた刺激を受けざるを得ない。