頑張れ受験生!!

(2006/11/17)


 

 今年も韓国で一番熱い(?)日がやってきた。

日本のセンター試験にあたる大修学能力試験の日だ。
国公立、私立問わず、この試験を受けなければならない。今年はおよそ59万人が臨んだ。

 試験日の朝は、受験生への後輩たちのエールで明ける。
太鼓を打ちながら校歌を歌ったり、チョコレートやミカン、温かいお茶を配ったりして、
高校の先輩たちを送り出す。これも目上の人を敬う儒教思想の表れだろうか。

 続いて集合時間の8時10分に近づくと、パトカーなどの緊急車両が目に付くようになる。
遅刻しそうな受験生を試験会場まで送り届けるためで、
警備会社やタクシー会社もボランティアで車を提供している。

 ここまで受験生に手厚いサポートがなされるのは、韓国が今も学歴社会であるから。
「出身大学でその後の人生が決まる」といわれるほどだ。
大学別に2次試験があるものの、ほぼ修学能力試験の出来で合否が決まってしまう。

 それゆえ「送り届けサービス」以外にも、受験生を出勤ラッシュに巻き込まないよう
地下鉄やバスは増便し、役所や一部の企業は出社時間を10時に遅らせる。
英語のヒアリングテストの時間には、飛行機のフライト時間が調節されるほどだ。

 こうしたことから当然、教育熱は高く、進学校がある地域への引っ越しを望む人達で
不動産バブルが起きている。
また、子供を海外に留学させ、有名大学への帰国子女枠での入学を目指す家庭もあるという。
 
この時期が来ると、「ゆとり教育」を進めてきた日本は、韓国に学力で追いつき、
追い越される(追い越された?)のではないかという焦りとともに、
日本以上に激しい「格差社会」が到来していることを実感する。


北朝鮮の資金源に密着

(2006/10/31)


 

 まさにタイムスリップしたような感覚だった。

軍事境界線を越えて北朝鮮に入ると、景色が一変したのだ。
今にも崩れ落ちそうな家屋の煙突からは夕食の準備の煙が上がり、
人々は橋のない川を膝まで浸かり歩いて渡っていた。
 
10月24日から2泊3日の日程で、北朝鮮の景勝地、金剛山を訪れた。
しかし、登山道の案内員やホテルの従業員などの限られた
「エリート」としか接触は許されない。一般市民の生活はバスの中から垣間見るだけだ。
 
田畑の耕作や移動はほとんど全て「人力」のようだ。
道路を走っているのは、登山関係などの韓国側の車のみ。
夜8時を過ぎれば辺り一帯は暗闇に包まれる。
登山客が泊まるホテルの前にあった金日成主席と金正日総書記親子の肖像画にだけは
明かりが消えることはなかった。

金剛山.JPG

 核兵器やミサイル開発に巨額の資金を注ぎ込み、
超大国のアメリカと渡り合おうとする先軍政治と瀬戸際外交。
人民を飢え死にさせることも厭わず、
蜜を吸い続けてきた指導者達の暴走はどこまで続くのだろうか。


あやふやな態度で・・・

(2006/10/16)


 

 国連の安保理で北朝鮮に対する制裁決議が全会一致で採択された。
各国独自の制裁も検討される中、予想通り韓国政府は消極的だ。

 北朝鮮が核実験に成功したと宣言した日、
安倍総理との初会談を終えた盧武鉉大統領は、
「このような状態になっても包容政策だけを主張しつづけることは難しい」と話し、
北朝鮮への融和政策の変更を明らかにした。

 金泳三元大統領は、「融和政策がとられたこの8年間余りで、
およそ5900億円を北朝鮮に支援した。こうした資金で核実験が行われた。」と強く非難。
アメリカも名指しはしないが、開城工業団地と金剛山観光の中断を望んでいる。
この2大事業が北朝鮮の重要な外貨獲得先の一つとなっているからだ。

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 しかし、「核実験」から1週間が過ぎても、具体的な制裁の動きはない。
韓国メディアによると、韓国政府は国連決議は支持するものの、
2大事業は制裁対象にあたらないと判断しているようだ。

 来年に大統領選挙を控え、対北朝鮮政策の失敗を認めることは難しいだろう。
今後も北朝鮮の出方と関係国の動きを見ながら対応しようというのだろうが、
早くほとぼりがさめるのを待っているようにも見えてしまう。


休みモード→お祝いモード→超緊張モード

(2006/10/04)


 

 韓国は週末から旧暦の「お盆休みムード」。そんな韓国が外交的快挙に沸いた。潘基文(バン・ギムン)外交通商相が第8代の国連事務総長に事実上、内定したのだ。「体を壊すんじゃないか」と思うほどのハードな外遊スケジュールをこなして票集め(?)に世界各国を飛び回っていたが、その成果か、圧勝だった。
 潘(パン)外通相は1944年生まれの62歳。韓国中部の忠州の出身で、高校生のころから外交官を目指す秀才だった。特に英語が得意で、高校2年生の時には全国からわずか4人という訪米団の一員に選ばれたほどだ。名門ソウル大を卒業後に外務省入りし、米州局長や駐米公使などを歴任、アメリカとのパイプも太く、国連業務にも詳しい。
 こうした華やかな経歴に関わらず、見た目は「人の良さそうなおじさん」。出馬を固めてからは、事務総長に必須のフランス語の勉強を始めたり、前述した訪米の際の壮行会で花束を贈ってくれた女子高生が現在の奥さんらしい、といったエピソードを聞くと、誠実な人柄が窺える。

南北境界線付近.JPG
(「核実験宣言」翌日の4日、南北境界線付近から見た北朝鮮」

そんな新任事務総長に重くのしかかるのは、やはり北朝鮮問題だろう。北朝鮮への融和政策を進めてきた韓国の閣僚が公平な立場をとれるのか、という懸念が付きまとう。そこに北朝鮮が核実験を宣言。事務総長確定の「お祝いムード」は一転し、外交、安保関係者は緊張に包まれた。
 瀬戸際外交を続けてきた北朝鮮が、最後のカードを切ろうとする意図はまだ分からない。潘(パン)事務総長はこの難題とどう向き合うのか、就任早々から真価が問われそうだ。


「自主」の代償

(2006/09/25)


 

 ソウルの中心部でデモや集会がない日があれば、それがニュースになるのではないかと思うほど、連日、どこかで誰かが何かを訴えている。警戒にあたる警察官と激しく衝突し負傷者が出ることも珍しくなく、若い警察官の母親らが、『暴力的なデモの禁止』を訴えてデモをしたこともあった。

ブログ写真.jpg

 さてこの日は、国防省前に北朝鮮軍出身の脱北者が集まった。韓国軍が戦時の統制権(指揮権)を単独行使することに反対したのだ。
 現在、戦時統制権は米韓連合軍の司令官つまり在韓米軍の司令官が保有しているが、これを韓国軍へ移管しようと協議が続いている。『自主国防』を目指す盧武鉉政権の悲願とも言えるが、米軍からの戦力支援の規模が縮小する恐れがあり、北朝鮮への脅威を主張する保守層からは批判を受けている。さらに韓国側は2012年の移管を求めていたが、アメリカが2009年に前倒しすると応じてきたため、「北朝鮮への宥和政策を続ける韓国に、アメリカは見切りをつけたのではないか」といった悲観論さえあるようだ。歴代の国防相や外交通商相らが、統制権の単独行使に異例の反対声明を出したのに続き、脱北者らも「在韓米軍の抑止力が薄まれば、金正日総書記の思惑通りになる」と危機感を募らせたのだ。防衛費の増大で、国民の負担も重くなるだろう。
 統制権の移管計画は、来月の米韓の協議でロードマップについて協議され、進められるようだ。北朝鮮問題、在留米軍問題という共通の問題を抱える日本にとっても重要なニュースになると注目している。


板門店へ

(2006/09/20)


 

先日久しぶりに板門店を訪れた。帰任する前にもう一度見ておこうと思ったからである。
今回はプレスツアーではなく、一般の観光ツアーに初参加、ガイドさんの説明を聞きながら見て回ったのだが、これはこれで新鮮だった。
板門店1.jpg


宣伝放送が無くなったり、ジーンズの着用が一部認められたりと多少の変化が生じているものの、「北朝鮮に向かって指を差してはいけない」「写真撮影は、いいと言った所でだけ」など規制が多いことには変わりない。
軍事境界線をまたぐ建物に入り、窓の外の北朝鮮兵士に視線を移したら、直立不動のまま睨み返された。
時が止まっているように、南北が対峙する現場の静かな緊張感は、ソウル市内にいては感じられないものである。

板門店2.jpg


北朝鮮をめぐる状況は、ミサイル発射後、ますますいい動きが見られない。
日米韓の間でも、韓国政府は北朝鮮よりも日本の「過剰対応」を批判するなど、今や足並みの乱れは誰の目にも明らかだ。

日本にはまもなく新政権が誕生する。一方の韓国では来年、大統領選挙が行なわれる。
日韓関係、アジアの安保体制に今後どのような変化が現れるのか、注目したい。

帰国したら、またも久しぶりだが靖国神社そして「遊就館」を訪れてみようと思っている。